鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「アオイホノオ」29(新刊)

2023年11月10日刊。

28巻に引き続き、全話にわたってアシスタントのマウント武士がフィーチャーされている。末尾の174章などはタイトルが「マウント武士ちゃん」に変ってしまっている。

これまで登場したどの女性とも性格が違うが、可愛いし、肉感的でもある。もしかしたら誰よりもホノオに対して好意的・献身的かも知れない。本人は「ホノオ先生は私のことを女性扱いしていない、私も(異性としては)全然ムリ」だと言ってはいるが。

さて本巻ではホノオが二人の人との邂逅を果たす。一人はゴーグルピンク(の中の人)の大川めぐみ、もう一人は巨匠・あだち充。もちろん大失敗をやらかした顛末記になっているわけだが、大川めぐみに関しては、マウントが「異性とのコミュニケーション経験不足」だと喝破するコマがある。が、これは違うと思うのだ。

主人公補正ではあろう、架空の人物もいたであろうが、ホノオは1巻からトンコさん、津田洋美、みつえちゃん、凩マスミ、尾東君子、樺上桜と途切れることなく周囲には女性がいた。みなホノオに対して好意的で(その好意は恋愛の意味ではないとしても)、話がはずんでいる。その意味では経験は豊富である。

一方、好きな人、憧れの人と会えることになって舞い上がってしまったのだとしたら、こんなこと経験のしようがない、経験したからといって慣れるものでもない。誰だってそうなる。これは仕方のないことだ。きっと大川さんは、私に会ってこれだけのぼせているということは、よほど熱心なファンなのね、と思って喜んでいたかも知れない。少なくとも、カッコ悪い人ね、とは思わなかったはずだ。

それにしても、ホノオはこの時期「炎の転校生」と「風の戦士ダン」の二つの連載を抱えていたわけで、すごいことだ。その上で野球の試合をしたり、大川めぐみやあだち充に会いに行ったりしていたのか。

そして三上さん、単行本が出ればエアコンが買えるとわかっているなら、そのくらい前借させてあげればいいのに。仕事の効率が違うよ。



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