鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「1・2の三四郎」プロレス編(その1)

柔道編その1(5月6日付)で本作は「小林まこと史上の最高と最低が同居している不思議な作品である」と書いた。最低というのはプロレス編のことである。

連載をリアルタイムで読んでいた時はプロレス編には心底がっかりし、三四郎の続きを読みたいけど、こんな内容ならない方がマシだと思っていた。だから単行本も9巻までしか買わなかった(その後kindleで買い直した時、結局全巻買ってしまったが)。

だが、あれから40年ほど経った現在振り返ってみると、もしプロレス編がなかったら、「1・2の三四郎」はあっという間に歴史の中に埋もれてしまい、顧みられる機会はあまりなかっただろうし、三四郎というキャラクターがここまで定着することもなかっただろう。もちろん「「1・2の三四郎2」も「格闘探偵団」も(どちらも名作)なかった。

世の中には、いや、少なくとも漫画作品には、内容の良し悪しや巧拙は別にして、長く続けることによって意味を持つこと、というのは確かにあるのだ。

連載開始当初に比べてプロレス編を描いていた頃は、いろいろあったのだろうが、今となっては、とにかく描き続けてくれたことに感謝するしかない。



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(2020/5/17 記)