鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「1・2の三四郎」柔道編(その3)

作者から見た亜星健の役割を改めて考えてみたのだが、三四郎はもともとラグビーをやっていた。ラグビーは本当に好きだったし、将来もずっとラグビーを続けることを目標にしていた時期もあった。種々の事情でラグビーをやめ、柔道へ鞍替えしたものの、なかなか柔道に心底打ち込むというわけにはいかなかった。

だから、本格的な柔道の達人を、普通に考えたら三四郎ごときがとても敵わないけれど、志乃をめぐってのライバルでもあり、意識せざるを得ないような相手を登場させ、三四郎に無理やりにでも柔道に燃えさせる必要があったのではないか。

亜星の存在がなくても、市民大会で稲毛と出会い、稲毛が真剣に柔道に取り組んでいるのを見て触発され……でも一応話は通じるが、稲毛さんには申し訳ないが、やはり稲毛(だけ)では三四郎を動かすには弱い。稲毛は一回戦の相手がいいところなんだろうと思う。

三四郎がそのまま柔道に目覚め、柔道に人生を懸けるようになれば、亜星との絡みもいろいろあっただろうが、結局はインターハイ後すぐにやめてしまった。三四郎にとって柔道とはその程度のものだったから、亜星とももう出会うことはなかった、というところか。

金田麻男の登場がなんといっても誤算だった。これは三四郎だけでなく、柳にとってもそうだっただろう。


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(2020/5/16 記)