- 高瀬わか「かわいすぎる男子がお家で待っています」7(マーガレットコミックス)
ハルの叔父・伊上陽介とレオが連れ立って歩いているところを週刊誌に目撃され、記事にされてしまう。伊上が「あれは甥の彼女だ」と弁明したことからレオの存在がハルの母親に知られ、ハルはこれまで避けてきた両親ときちんと向き合う覚悟を決める。
ハルの両親は、僕も腹を立てている。父が外交官で海外生活が長く、母も家を空けることが多くて、ハルと妹のナツは互いを頼りにし、他人に心を開かない子に育っていく。そんな彼らの心を多少なりとも開いたのが、何かと顔を出して面倒を見てくれた伊上陽介(ハルの父の実弟)なのに、ハルの両親は、ハルに悪影響を与えたと伊上を忌み嫌っている。
そんな両親を嫌うハルは、家を出て連絡を絶っていたが、避けるだけでは先がない、向き合わなければレオとの未来もないと一大決心をするのが本巻のクライマックスかな。レオと二人でいるところを見られたのは伊上の失策だが、他のごまかし方もあっただろうに、「甥の彼女」だとあっさりバラしたのは、これ以上逃げるなとハルの背中を押すためもあっただろう。
結果、和解まではいかなかったが、父はハルが役者を目指すことを「お前の好きにすればいい」と言い、母はハルの舞台を見に来るまでになる。
一方、レオはもともと家族仲がいいが、ハルがレオ父に「レオさんとずっと一緒にいたいけど、まだ稼げてもいないし……」と言うと、「遥希くんは若いのにしっかりしているな」と笑われてしまう。「親としてはレオのしあわせしか望んでいない。君と一緒にいるとレオは幸せそうだ」というシーンは良かった。
舞台が中心で、とても収入にはつながらないハルだが、自分が大ファンのメビウスの目に留まり、そのプロモーションビデオへの出演を依頼されるなど、少しずつ認められる兆しが出てきた。
二人の結婚で終幕かなとは予想していたが、この結婚の仕方は意外。
物語の前半に色っぽいシーンが全然なく、イライラさせられただけに、本巻では二人のキスを含むいちゃいちゃシーンが随所にあって、それもよい。
最終話のあとの描き下ろし、ナツの物語も、全体の補完としてよくできている。結婚式が本編で描かれなかったのは不思議だったが、この描き下ろしで描かれる。
とにかく尊い物語でありました。