鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ボクの手塚治虫」(再)

一年半ほど前にも本作を取り上げた。その時はかなり批判的な書き方をした。作品を批判したつもりはないのだが、自分は矢口高雄が好きではないと書いたのだ。

トキワ荘関連の本を立て続けに読み、改めて本作を読んでみたところ、しみじみと感動した。なんとよくできた本かと思った。

なんといっても絵がうまい。線がきれいだ。失礼ながら、斎藤あきら氏とは比較にならない。

話の持って行き方がうまい。作者がいかにして手塚治虫に感動し、憧れたのかがよく伝わってくる。手塚治虫はもちろんどんなマンガ家かよく知っているが、改めて「すごい人だったんだな」と思ってしまう。作中で、手塚の「メトロポリタン」という作品が紹介されるのだが、それを読んで、面白そうだな、ぜひ読んでみたいなと思い、購入してしまったほどだ(kindleで即時購入できる。いい時代である)。

一流の漫画家の描く作品というのはこういうものか、ということを改めて実感させられた次第。

同じ作品でも、読む時期やタイミングで、異なる感想を持つことはあり得ることだが、一年半前とはかなり違う受け取り方をしたことに、自分でも驚いている。同時に、一年半前に感想を書いておいてよかった、とも思った。

まあ、僕が矢口のぴょんぴょんの作風を好きになれないのは変わらないのだが。