鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「あだち勉物語」2

2021年12月10日刊。一巻に続いて読む(ちょっと高いけど)。

赤塚不二夫のチーフアシスタントに収まったあとは自作の漫画を発表することもなくなったのかと思い込んでいたが、学研の「中1コース」であだち充と一緒に連載を始めたとある。これだ! 「実録あだち充物語」の感想で、次のように書いた。

子供の頃、学習雑誌的な本に、よくあだち勉あだち充(当時は「あだち・つとむ」「あだち・みつる」というペンネームだったような気がするが……)がイラストを描いていた記憶にあって、絵柄も似ているし名前も似ているから兄弟なんだろうな、どちらが兄なんだろうな、などと思っていた(はず)。

これは「中1コース」のことだった。年代を調べてみたら自分の中学時代にドンピシャだった。

もうひとつ、特筆すべき内容がある。

編集者との飲み会で、男だけだと色気がなくて寂しい、という話になり、あだち勉が急遽とある女性漫画家を呼び出したところ、すでに出来上がっていた編集者たちが、彼女の頭からビールをかけた描写があるのだ。この話は何年か前に漫画家本人のtweetで読んだ覚えがある。悔しくて悔しくて、絶対にこいつらを見返してやろうと思って頑張りました……というような内容ではなかったか。その時に「これのことですね」的に本作がコメント欄で紹介されていたように思う。その時はビールをかけている描写と、「俺らがこの子に原稿依頼することはないから」と編集者がのたまうシーンが切り取られていて、誰のなんという作品かわからないが、ビールをかけた人だけでなく同席していた人(漫画を描いている人を含む)も同罪だ、と思った記憶があるが、本作をちゃんと読むと印象が変わる。ビールをかけた編集者に対し、あだち勉が「あんたたち、なんてことをするんだっ!」と怒鳴りつけるのである。それに対して編集者が「俺らがこの子に原稿依頼することはないから」と言い、あだち勉は「そういう問題じゃねえだろ!」と一層怒る。

まあ、その場だけで、それ以上その編集者たちを糾弾することはなかったわけだが、少なくともあだち勉ありま猛は、編集者の態度に反感を示してはいたわけだ。

この女性漫画家は誰だったっけな? 作品では匿名になっているから追求はやめておこう。



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