鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

お兄さんも漫画家だったんだよ……「実録あだち充物語」

子供の頃、学習雑誌的な本に、よくあだち勉あだち充(当時は「あだち・つとむ」「あだち・みつる」というペンネームだったような気がするが……)がイラストを描いていた記憶にあって、絵柄も似ているし名前も似ているから兄弟なんだろうな、どちらが兄なんだろうな、などと思っていた(はず)。

ちょこちょこイラストを描くだけの人を売れっ子とは言わないのかも知れないが、子どもの自分が名前を覚えたのだから(そういう人は何十人もいたわけではない)、それなりには有名人だったのではないだろうか。

その後弟は少年マガジンで「牙戦」を連載し、その後少女漫画家になって、女の子の可愛さで人気を博し、また少年漫画界に戻って来てビッグヒットを連発したが、兄の名前を聞かなくなっていた……

本作は、その兄であるところの、あだち勉の描いた数少ない作品。漫画自体が面白いというより、知られざるあだち充のエピソードが面白いかな、という作品。

それにしても表紙のあだち充は若い。この作品は1982~1984年の作品だから、あだち勉が35~37歳、あだち充が31~33歳の時ということになる。「タッチ」の連載が始まった頃。今から40年近く前の話だ。

なお現在、あだち充は69歳でまだ現役の漫画家だが、あだち勉は2004年に56歳で亡くなられている。



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