鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「あだち勉物語」4

2023年2月10日刊。前巻は「ありま猛物語」に寄っていたが、本巻ではまた「あだち勉物語」に戻った。

赤塚不二夫の「レッツラゴン」はリアルタイムで読んでいた。記憶では、当初はゴンが主人公でそれなりに面白かったが、だんだん話が支離滅裂になり、意味のわからない話も多く、主人公だったゴンが登場しなくなった。それでも「レッツラゴン」のタイトルが使われ続けたが、「来週からタイトルが『少年フライデー』に変わります」と予告が出てシームレスに「少年フライデー」が始まった……と覚えている。

が、編集者の武居が登場し、キャラとして登場するだけでなく絵の一部も担当していたのは全く記憶にない。武居は話のアイデアも提供していたそうだ。そして、編集長からは「ギャグが子どもにはわからない」「編集者は黒子、表に出過ぎてはいけない」など度々注意されていたが、赤塚にはそれを伝えず、作品が面白ければいいと、後押しをしていた。それが原因で少年サンデー編集部をクビになり、少女漫画の編集者に回される、というのはなかなか壮絶な展開だ。赤塚は、武居がいないなら描かないといって「レッツラゴン」の連載をやめてしまったそうだから、シームレスに「少年フライデー」が始まったのは記憶違いかも知れない。

少女漫画の編集者になり、かつてビールをかけた作家に執筆のお願いをしたくだりは面白くないけど面白い。「私が描くと思いますか?」と言い返され、少しだけ溜飲が下がった。

それにしても、かつて少女漫画は少年漫画の下に見られていた時代があったというのはなんとなく知っていたが、ここまで差別感情があったとは。自分は少女漫画時代のあだち充のファンだったのであり、「ああ!青春の甲子園」とか「夕陽よ昇れ!」「陽あたり良好!」とか夢中になったもの。「ナイン」は傑作だと思うけど、「みゆき」以降はちょっと違うなと思って読まなくなったクチだから、この少女漫画蔑視の感覚はわからない。



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