鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「夕陽よ昇れ!!」(全2巻)

  • 原作・やまさき十三、漫画・あだち充「夕陽よ昇れ!!」1, 2(フラワーコミックス)

1巻は1980年1月25日刊、2巻は1980年4月25日刊。「週刊少女コミック」1979年8号~19号掲載。あだち充の少女漫画全盛期の作品。

沢木夕子は転校生・桂木剣一に恋をする。真面目で成績優秀、見目もよく、剣道二段の剣一にはファンが多い。が、双子の弟・竜に励まされ、夕子は自分の気持ちを偽らない決意をし、剣道部に入部。

実は剣一は不治の病に冒され、余命一年なのだった……

という、短くも熱く生きた青春群像劇。剣一が何の病気だったのか、病院ではなく夕子とのデート中に死んだら、不審死扱いで大騒ぎになっただろうとか、そういう野暮なことは言わないのがお約束である。剣一の二枚目ぶりと夕子の美少女ぶりと竜の三枚目ぶりを楽しめばいいのである。

1巻の巻末には「居候よりひとこと」(「週刊少女コミック」1979年11号掲載)、2巻の巻末には「なかよしの詩」(「COM」1971年9月号掲載)が収められている。こちらはあだち充のオリジナルと思われる。これだけ描けるなら原作者はいらなかったようにも思われる。それにしても若き日のあだち充のタッチは石井いさみにそっくりだ。小野新二ももう少し続けていれば、オリジナルの画風になったのかも。



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