鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「女ともだちと結婚してみた。」1

  • 雨水汐「女ともだちと結婚してみた。」1(一迅社

2021年9月17日刊。作者は「うすい・しお」と読むそうだ。

瀬良くるみ、作家。相澤瑠璃子、パティシエ。同級生、25歳。元・親友。

くるみが「結婚も一度はしてみたいけど、私なんか誰にも選んでもらえない」と言うのを聞いた瑠璃子が「じゃあ私と結婚しましょう」ともちかけたのがきっかけで、本当に結婚することになった。結婚してからの二人を描いた話。

この世界では既に同性婚が認められており、婚姻届けも出した(姓がどうなったかは明記なし)。同性婚は珍しく、だからこそそれをテーマにしたくるみのエッセイは需要があるが、といって周囲の好奇心に晒されるというわけでもない。その点は先進的かつ平和な世界である。

二人でひとつの家を運営していく、というのは、何かと大変なもので、そうした問題をひとつひとつていねいに描いている。そこは面白く、またためにもなるのだが、冒頭からずっと感じた疑問は最後まで解消しなかった。「これ、友人とルームシェアしていることと、どこが違うの?」

直截的な物言いをすれば、この二人、セックスしているのか? キスもハグもする様子がない。「夫婦もの」を描いているからと言ってそうした描写がなくても構わないのだけど、この二人、愛人関係には見えない。瑠璃子がくるみに抱いている気持ちは恋なのかなと当初は思ったが、どうも「究極推し活」のようにも見える。くるみの瑠璃子に対する気持ちは完全に友人に対するそれ。

百合を期待した自分には完全に期待外れだったが、瑠璃子が入院したエピソードでくるみの気持ちに少し変化が表われたようだから、今後の展開に期待しよう。



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