鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「錆びた刀」

錆びた刀

錆びた刀

上泉成政は22歳で名人位を三連覇した雀界のスターだった。が、25歳で名人位を失ってからは鳴かず飛ばずの10年。かつての面影はなく、新宿歌舞伎町のフリー雀荘の従業員として口に糊する日々を送っている。

そこに丸目という若者が上泉と打ちたいといってやってきた。彼は上泉に憧れ、上泉のようになりたいと思ってここまでやってきたが、だからこそ上泉の現在の体たらくに腹を立て、引導を渡すためにやってきたのだった……

一世代を築いたものの伸び悩んだ者の悲哀、若手の台頭、ベテランの意地、そうしたさまざまの思いがコンパクトに詰まった佳作。押川雲太朗はこういう作品が本当にうまい。

惜しむらくは話が短い(110ページ)。もう少し掘り下げられればもっと満足度が上がったのではと思うが。


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(2020/2/4 記)