鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「BET」1~3

何がきっかけでこの漫画を知ったのかは記憶にない。作者のオフィシャルサイトにも詳細な記載がないため、初出がいつ頃で掲載誌が何かもわからない。この作者、押川雲太朗の他の作品も読んだことはない。恐らく20年くらい前に、kioskに単行本が置いてあって、たまたま手に取って面白そうだから買って読み、面白かったから全巻揃えた、という経緯だったと思う。

北島の陰のある容姿にギャンブルのバカ強さ、一見間抜けなエトちゃんがその北島の癖を見抜く、そして舞台が日本の違法賭博からラスベガスのカジノというスケールの大きさ。テンポよく話が進んで余韻を残しつつ3巻で終わるところもいい。病みつきになって何度も何度も読み返した。

その後本が押し入れの中のどこかへ行ってしまって見つけ出すのが不可能になり、再購入しようかと思ったが、タイトルも作者名も忘れてしまい、2chのコミックスレで、このような話をどなたか知りませんか? と尋ねるも反応なし。二度と読めないのかと残念に思っていた。

そんな矢先、たまたまkindleで見かけて一気買い。改めて再読したが、癖になる面白さは変わらず。発掘できて良かった。

北島の言う「最初は見(けん)」というのは、ギャンブルに限らず物事の真理だと思う。何かをやる時に、仕事であれコミュニティであれ、最初のうちは気配を殺して流れを見ることに専念する癖は、この作品を読んでから身につけたものだ。

作者の公式サイトを見てみると、思ったより作品数が多い。そしてギャンブルものが多い。他作品も本作程度に面白いのであれば読んでみたいが、ギャンブルものは文字通り「賭け」である。僕自身は、ポーカーはもちろん、麻雀もパチンコも一切やらないため、ギャンブルそのものをしている描写には興味がない。それでもなお、面白いと思える「何か」がある作品があり、本作もそのひとつだが、率でいえば恐らくかなり低いのだ。中をパラパラとでも見られればいいのだけれど。

(2019/8/23 記)

追記

モーニングKCだったことがわかった。掲載されたのがモーニング本誌なら、その時点で目に留まっただろう。1巻が2000年2月1日刊、2巻が2000年5月1日刊、3巻が2000年9月1日刊。(2022-02-14)