鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「プレイボール2」9

粗筋

待ちに待った新刊である。強豪・川北高との試合、初回ノーアウト満塁で打席に入った谷口が満塁ホームランを打つのが前巻の引きだった。いきなり大量リードを背負うがその後はどうなったか。

ホームランを打った谷口だけではない、満塁にしたのは(相手のミスもあるが)丸井、イガラシ、倉橋らの力によるもので、前日の対川北用の特訓が功を奏したのだ。しかし、試合前日に猛特訓をした疲れが残っているのは否めない。

川北は粘り強い上に、トリックプレーを随所で披露する。頭脳的プレーというよりややチートっぽいが、それがことごとく成功するのは身体がキレにキレているから。対して、じわじわ追いつかれてしまうのは、墨谷ナインがどこか身体が重そうだから……。その上川北は打席で粘り、先発の松川は2イニングで70球、リリーフのイガラシも3イニングで60球投げさせられる。

さて、8回を終えて川北は同点に追いついた。9回からはリリーフ登場……で9巻は終わり。

雑感

「キャプテン」にしろ「プレイボール」にしろ、谷口は、あるいはちばあきおの野球漫画は、と言い換えてもいいと思うが、とにかくひたすら特訓を重ね、強敵に対抗する力をつける、あるいは攻略する糸口を見つけていくというもの。そこへコージィ城倉が「調整」という概念を持ち込んだといえるだろう。

川北の小野田の速球が予想以上に速いことを試合の前々日に知り、前日に対小野田に絞った速球対策をする。それをしなければ小野田を打つことはできなかったかも知れない。それをしたから初回で4点取れた。しかし既に準々決勝なのに、身体を休めることをせず深夜まで練習していた墨谷ナインは、負の影響も試合に持ち込んでしまう。

コージィ城倉ちばあきおを批判しているわけではない。40年以上経って、世の中が、野球が、それだけ進化したということだろう。1970年代後半を、現代の視点で俯瞰する、というのが興味深い。

さて、試合はこれからどうなるか。川北のエースが退いたと墨谷はほっとしているが、リリーフの力は小野田より劣るのか。また、この試合は井口を投げさせる気は谷口にはなかったようだが、これもどうなるか。既に3イニング投げた谷口が9回も投げるようだと勝機は薄いが、松川が最終回を締めくくるのは重荷に過ぎるだろう。

時代はビデオデッキが登場し一般に広まり始めた頃。田所が、遠からずVHSはなくなり残るのはベータだと頑なに信じているのがオカシイ。でも、これをオカシイと思える人が何人いるかな? 「プレイボール」を面白がる人はみんなそういう世代かな?


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