2014年12月18日電子書籍版発行。最初期の作品集。デビュー作は「手錠はおどる」、二作目が「それはあんまり」、三作目が「ファーストキッス」ということらしい。
表題作はミステリー・コメディーで、初期の傑作。正直のちの作品ほどにはひねりが効いておらず、作者がどこへミスリードさせようとしているのかと、真相はどうなのか、だいだい想像がつくのだが、それでも引き込まれる。曽祢まさこの魅力が凝縮されている。高校生がよくこれだけの作品を描けたものだ。
絵はまだ発展途上だが、本人の解説によると、この頃一番気にしていたのはネーム(セリフ)のテンポだったそうだ。実際、話の進め方や会話のやりとりなどはとてもよくできている。絵よりもまずネーム、という考え方自体が、プロとしてやっていかれた大きな理由なのかも知れない。
最後に収録された「小さな町で……」は少しあとの作品。さすがに絵が手馴れている。