鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「僕の散財日記」

初出は「メンズ・イーエックス」2001年3月号~2005年7月号。単行本は2005年12月刊。文庫本は2009年3月10日刊。

文庫本が出た時に作者名で即買いしたものと思われる。家の書棚にあったのを見つけて再読してみた。いや、再読のはずだとおもうのだが(ところどころ覚えはあるが)あまり記憶になく、新しい本を読むような気持で読んだ。

現在の松任谷正隆は物を買うお金にも、買ったものを置く場所にも不自由していないのだろうから、どうぞいくらでもなのだが、驚くのは、ジャケットだのセーターだのスニーカーだのトートバッグだの……といったひとつひとつのものに、これだけの情熱を捧げ、時間をかけて好みのものを選んでいくだけの時間がよくあるなあ、ということだ。

人気ミュージシャンとして、仕事量も多いのではないかと思われるし、そのためには勉強にもかなりの時間を割かないといけないのではないかと思うのだが。このように着るものひとつとっても、こだわって、良いものを探していく姿勢が、彼の音楽センスを支えているのだろう。

また、若い頃から裕福だったんだなあ、とも思う。お小遣いを必死に貯めて買った、などと随所に出て来るが、貯めれば買えるほどのお小遣いをもらっていたということだ。それにしても、ミュージシャンを目指す人にとって、気になる音楽のレコードを買い集めるだけでも、普通の中高生の何倍ものお小遣いが必要だと思うのだが。



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