鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「本当の自分 晒された性欲」1, 2, 3

  • 川島れいこ「やってみなければわからない本当の自分 晒された性欲」1, 2, 3(グループ・ゼロ )

2022年10月1日刊。全18巻同日発売。

レディーシ・コミックを総括できるほど詳しくは知らないが、1990年代の後半から2000年代初頭にかけて、過激な性的描写の作品群が一世を風靡していたと感じている。その中に川島れいこがいた。

女性の性欲を正面から描いた作品はそれ以前にもあったが、いかんせん、絵が下手で女性の顔もスタイルもとても素敵とは言えなかった。が、ある時期から川島れいこのような、美人でスタイルが良く、色気のある身体を描ける作家が何人も登場して注目を集め、これまで名を知られていた作家が脇に追いやられ、ジャンル自体も栄えて行ったように思う。これは成人男性向けのジャンルも同じだ。

不思議なのは、ある時点で急にブームが去ってしまい、以後はあまり目に触れなくなってしまったことだ。大人の女性向けに盛んに描かれるのは、嫁姑の物語だったり、ママ友や職場のお局とOLだったりと女同士のドロドロを描いたものが脚光を浴びているようだったが、当方はこうした話には全く興味がなく、このジャンルから離れてしまった。

川島れいこも(タイトルから想像するに)女同士のドロドロを描いた作品も多いが、本作は、過激な性描写を前面に出した作品を集めたシリーズのようである。試しに買ってみたら、読んだ記憶のある作品が一作混じっていた。懐かしい。

今読むと、別に過激というほどのことはない。その証拠に、Amazonでも成人向けの規制はない。それよりも、何冊か続けて読んでみたが、設定やシチュエーションが非常にバリエーションに富んでいて飽きない。これはすごいことだと思う。

また、人物だけでなく、建物や自動車などもとてもうまい。これはいいアシスタントがいたということかも知れないが、こうした部分がしっかりしているから、全体が上質に見える。今回調べていて大島やすいちの妻だということを知り、とても納得した。

作品の初出の記載がなく、残念。漫画史に残る作品だと思うが。



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