鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「哀シャドー」3(完結)

  • 原作・工藤かずや、作画・平野仁「哀シャドー」3(グループ・ゼロ)

2019年12月26日kindle版刊。

冴子の仕事仲間の恵、由香がかつて遂行した「仕事」を恨みに持つ者から命を狙われた時に、冴子が返り討ちにしたことから、恵と由香は、冴子を冤罪に追い込んだ人間を見つけることに協力を申し出る。

青木に偽証を依頼し、冴子がそれに気づいたと知るや青木を殺したのは古谷。が、古谷には冴子の夫を殺す理由がない。冴子と夫が消えて得をするのは夫の実弟である諸橋直人、現在の諸橋コンチェルトの代表だ。

そこで冴子は恵と由香を信じ、囮になって古谷に捕まることにした。古谷は誰に連絡を取るか? 果たして諸橋直人だった……

古谷が狙われていることを知った直人は反撃し、由香が命を落とす。また無断で勝手な行動を起こし一人が死ぬ事態を招いたことを知ったGは、冴子と恵を抹殺することにした。二つの組織から命を狙われた恵と冴子は……

Gは真相を知らず、本当に冴子が夫を殺したと思っていた。また直人は冴子(悦子)は死刑になって死んだと信じていた。両社は無関係だった。

Gがいったいどういう組織なのかは気になるところだが、圧倒的なスピードで進むサスペンスフルな展開は七難隠す。読み進むにつれどんどん引き込まれていく。

恵と由香が、G組織の手駒として冷血に殺人を実行していたのが、冴子と組んでから人間らしさを取り戻していくところや、互いに不信感の塊りだった恵・由香と冴子が、徐々に信頼し合い、最後は命を預ける間柄になるところが素晴らしい。名作だ。