鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

ハンカチ二、三枚「アシガール」6

涙を拭くためのハンカチが二、三枚なければ読み進められない巻だ。

あらすじ

戦国時代には二度と行かれないはずだったが、尊の奮闘によりあと二回(一往復)できることになった。

戻ってみたら女子衆が襲われているところに出くわしたため助けるが、これが松丸阿湖だった。きれいなだけでなく性格もよく、若君と似合いそうだ。阿湖がイヤな奴でも困るが、いい人でも困るのだ。

阿湖から、唯之助に命を救われたと聞いた忠清は、唯を探しに出る。恐らくこのあたりをうろうろしているであろうところに唯がちゃんといて、再会。「なにゆえ戻って参った!」と若君に怒鳴られ青くなる唯を「わしがどのような思いでお前を帰したと――」と言って抱きしめるシーンは圧巻。

婚礼が中止になり、ふさぎ込む阿湖は気晴らしに城下に出るが、何者かに拉致されそうになる。唯が変装して身代わりとなり、阿湖は助かるが、唯が身代わりとなり捕まってしまう。このあとも、とても要約のできないシーンが続く。唯がつかまったと聞いて冷静な忠清がいきなり探しに行くと言って部下を突き飛ばして城を飛び出したり。阿湖は唯に二度も命を救われているため、無事であってほしいと強く願うが、唯が女であることを忠清が知っていることを知って、もしや忠清は唯のことが好きなのではと思い悩む。

そして……唯を救うために、阿湖の兄に、高山へ訪ねて行くと文を出させ、自ら兄のふりをして唯を救いにいくのだ……!

雑感

何度読んでも泣ける。森本梢子がこのような感動シーンを真面目に描いたのは初めてなのではないか。「ごくせん」でも慎ちゃんがヤンクミを抱きしめるシーンも茶々が入ったし。ちゃんと描けば描けるんだ。もちろんギャグも適度に入っていて笑いながら読めるのだが。忠清、唯、阿湖、それぞれの気持ちがみないじらしい。できれば全員に幸せになってほしいが。

冒頭に出てくる尊の実験室の様子が、「ウルトラマン」とか「ウルトラセブン」の防衛軍の作戦室みたいで笑った。今だったらあんな風なスイッチがたくさんあってそれの操作で機会を動かすなんてことは絶対にない。携帯電話かタブレットを組み合わせて動く何かを考えるか、装置自体は別の何かだとしても、インターフェースは普通の液晶ディスプレイとキーボードまたはタッチパネルになるのではないだろうか……



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「うちの妻ってどうでしょう?」2

1回分が4ページ30コマ(+タイトル2コマ分)で描かれているが、ほとんどの場合、ひとつの話を30コマかけて描くのではなく、もっと短い話をいくつも描いて合計で30コマにしている。それぞれの話にはたいていタイトルがついている。普通、こういう時は、その話が始まる時にタイトルを提示するものだと思うのだが、最後のコマに「×××おわり」と描かれる。

しかも、それぞれのコマ数が揃っていない。仮に4つの話を描くとすると、それぞれを6コマ、8コマ、8コマ、8コマで描けば1ページにひとつの話ということになって収まりがいいと思うが、そのようには決してしない。例えば第30話においては、「イスをひく妻」3コマ、「僕の抗議」10コマ、「『僕の小規模な失敗』に描いた」16コマ、「スーファミのから参加したメトロイド」1コマ、という具合である。

この割り切れなさというか、気持ちの悪いリズムが、慣れてくると妙に心地よいのである。初期に比べ(今から思うと10年以上前なので、この作品自体かなり初期だが)かなり絵がきれいになってきたが、この「気持ちの悪さ」は福満ならではである(すごく褒めているのである)。


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「うちの妻ってどうでしょう?」1

僕の小規模な生活」に少し遅れて始まった連載エッセイ漫画。「僕の小規模な生活」が終わって、その続編的なことを本s買うで続けたのかと思い込んでいたが、そうではなかった。

講談社双葉社という別々の出版社で似たような作品を発表していたわけで、作者もネタの出し分けに苦労していたようであるが、出版社側もかなり面白くなかったようだ。

僕の小規模な生活」にも福満しげゆきのツマがメインキャラクターとして登場しているわけでだが、こちらはタイトルからわかるように、ほぼツマのことだけ。よくネタが続くものだと思うが、新鮮で面白いネタがずっと続く。ツマがそれだけ変わっているのか、福満しげゆきの料理の仕方がうまいのか。



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「ディアスポリス 異邦警察」4

ダーティーイエローボイズの結末は悲しい。#06では鈴木の元カノが登場するが、この女も食わせ者っぽい……?



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「かわいすぎる男子がお家で待っています」2

  • 高瀬わか「かわいすぎる男子がお家で待っています」2(マーガレットコミックス)

1巻を読み終わったら止まらず、即、2巻も購入。

1巻の感想が長くなってしまったため、書き洩らしたけど、ハルにはブラコンをこじらせた妹ナツがいる。兄に劣らず美少女である。この子がハルの高校時代のエピソードをレオに話そうとするんだけど、「本人が話してくれないことを他の人から聞くのはちょっと」と言って遮るのは、最近読んだ別の漫画にも似たようなシチュエーションがあった記憶が。自分だったら聞きたいから聞いてしまうと思うが、そこを遮れるのは立派。

さて2巻ではハルの母親が登場する。ハル(やナツ)の親だから当然と言えばそうだが、ナカナカの美人である。が、これが毒親設定。なんとまあ、いろいろとぶっこんでくれる作者様であることよ。そのことを知らない(気づかない)レオが母を褒めてハルが傷つくというあたりは一種のテンプレ。テンプレなんだけど、すごく面白く読めるのは、味付けがうまいんだと思う。

美男美女が登場するのはたいていの漫画がそうだけど、女が美人だったら男はちょっと三の線が入っているとか、男がイケメンなら女はソバカス眼鏡とか、何かバランスを取ろうとするのが普通。しかしこの作者は、何事も徹底する主義らしく、美しい人を描こうと思ったら、主人公のカップル二人がそれぞれに美男美女であるだけでなく、男の妹も、母親も、叔父も、みんな美人&イケメン。女の元カレもイケメン。主要な登場人物がみんなそうなのだ。実に眼福でよい。

それに、レオが高身長なのもとても好ましく感じる。一般に主人公の女は中肉中背であることが多い。小柄な女性が主役を張ることはあるが、ノッポは珍しい(思いつかない)。しかもレオは姿勢が良くて、ヒールも履いて堂々としている。とても素敵である。ジェンダー的な男を追求した結果なのかも知れないけど、女性としてとても魅力的に見える。

ところで、ハルの叔父がレオを訪ねて来た時、ハルが家を出て行ってしまったものと思い込み一人で騒ぎ立てるのだが、この時のレオの態度は諒太と別れた時とそっくり同じ。深く反省し、諒太にもそのことを詫びたはずだが、全く成長していないことがわかってしまった。この性格に関してはハルも諦めている節があるが、レオは「仕事ができる女」設定だけど本当に仕事ができているのだろうか。

本巻では、もうひとつ事件がある。レオとハルが泊りの「遠征」をするのだ。部屋がひとつしか取れなかったため、一緒に寝ることになる(ベッドは別)。一緒に暮らしているとはいえ、部屋は別々だから、ひとつ部屋で寝るのは初めて。さあ、何が起きるのか!! と思ったら、ちょっと期待し過ぎたか。割にあっさり終わってしまった。残念。



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「かわいすぎる男子がお家で待っています」1

  • 高瀬わか「かわいすぎる男子がお家で待っています」1(マーガレットコミックス)

スマホに宣伝が入ってきたため、(連載中の)マンガMeeで最初の無料版を少し読んでみたところ、ハマってしまった。これはもう単行本を買うしかない! 調べてみたらちょうど25日に1・2巻が発売される! というので、さっそく購入した。

いや~尊いね~

レオはOLで仕事ができると周囲からも一目置かれ、後輩たちからも頼りにされる存在である。背が高く、顔も美人だが、こちらの方は銀座のホステスか宝塚か……ちょっとクセのある美人である。そして、ファッションのセンスがない。仕事はスーツだからまだしも、私服はちょっと垢抜けない。部屋は片付けられない。何より男を見る目がなく、すぐにダメンズに引っかかってしまう。鈍感で人の気持ちに気付きにくく、思い込みが激しくて一人で突っ走るところがある。というように、わかりやすい長所(といえるのかな)と短所を併せ持っているというわけだ。

ハルは美少年でファッションのセンスもよく、部屋の片付けもできる、料理もうまい。その上、意外とガタイもよく仕事はガテン系だが、キレやすく、暴力沙汰におよぶため、すぐにクビになってしまう。そんなわけで常に金欠状態。

レオとハルはメビウスというアイドル歌手のファンで、コンサートで知り合い意気投合して親しくなった。いわゆるオタ友。

可愛くて、女子力が高いがお金のないハルに、給料はソコソコ良いが家事の苦手なレオが「嫁に来てください」(部屋代を負担するので家事をしてください)とお願いするところから話が始まる。

仕事はできるが家事の苦手な女と、家事が得意な男との恋愛物語というのは、実は結構ポピュラーなパターンである。つまり、ジェンダー的に男に期待される役割を女が負い、女に期待される役割を男が負っているわけである。本作は、女の側が、背が高く、年上で(6歳差)、美人だがヅカ顔、男の側は、女装趣味はないが可愛いものが好きで、結果、女の子みたいな服やアクセサリーを身につけていることが多い上にとてつもない美形、というように、そのギャップが徹底されている。

そしてもうひとつ、友人として仲が良かった二人が、一方が相手を異性として意識してしまった(もう一方はそうではない)という、嫌われているわけではないどころかとても仲の良い片思い、というのも、恋愛ドラマにおける王道パターンのひとつであろう。が、この二つがコンボでやってくるのがこの作品の面白さである。

その上、レオは頭がいいはずなのに、超鈍感で人の気持ちがわからない、という性格が乗っかってくるわけである。だからハルがわかりやすいくらいにわかりやすくレオのことが好きなのに、レオはそれがわからない。私もハルちゃんのことが好き!! と思っているわけである。

このように、設定は実によく考えられている。ここに、オタやSNSという現代風のふりかけがかかる。面白くないはずがあろうか。

でもやっぱりこの作品の魅力は、登場人物がみな美男美女だというところだよなあ、と思う。レオはその自覚がないけどやっぱり美人である。それに背がすらりと高くてスタイルがいい。一緒に暮らしていて、ハルはよく我慢できるものである。



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「ディアスポリス 異邦警察」3

#04影の警察の話は、久保塚が拉致され拷問を受けるが口を割らず、助役と小心者の鈴木が命懸けて助け出す。スズメバチを使うアイデアが突飛だが、ナイフなどの武器では素人がプロに敵うわけないけれどこうした道具なら勝ち目はあるわけで、そこは見事。

#05はダーティーイエローボイズという悪質な犯罪を重ねる集団を乗っ取ろうとして残虐な犯罪を繰り返す外国人の話。元牧師の伊佐久登場。



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