鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「恋に恋するユカリちゃん」5(完結)

ミナが漫画の登場人物になりきって、作中のセリフを言うと、サナエはなんのことか察して、作中のセリフをなりきりで言い、応じる。こうした点は呼吸がばっちり合っている。おそらくサナエは、陸上部の仲間とはこういう会話はできないのだと思う。

浜口が北条さんをかばってケガをしたシーンは萌えた。ぜひこの時の浜口の気持ちやその後の北条さんの態度について、ユカリと話がしてみたい。

子供(サエ)と話しているユカリは、十数年後のことを描いたものではなく、ユカリの妄想の模様。

あちこち写真を撮りまくるユカリ。さりげなく浜口・北条さん、中井・真野ちゃん、西方・高木さんをカメラに収めると、あとで浜口と真野ちゃんが写真をもらいにくるところがオカシイ。そして高木さんは「くれ」とは言わないが、「見せて」と言ってカメラを覗き込み、嬉しそうにほほ笑むところがいい。

2年生に進級。高木さんと西方も、ユカリ・ミナ・サナエもみな同じクラス。また一年よろしくで終わり。いい終わり方だ。



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「恋に恋するユカリちゃん」4

ユカリの妄想ぶりが板についてきた。

ミナのノリは、こちらは漫画の枠の外から眺めているだけだからいいけど、目の前にいたらうざいだろうなと思うことがある。一方、サナエがミナの弁当のおかずを盗ってしまうことをミナは本気で悲しがっているし、サナエの暴力は本気で痛がっている。

ユカリはとにかくコイバナがしたくてたまらないのだが、現時点ではミナもサナエも全くそうした方面への関心はなさそうで、話相手にならない。

というように考えると、なんでこの三人はいつも一緒にいるんだろうと、不思議に思うことがある。しかし、なんだかんだで仲がいいのだ。ミナが「衣替えは三人で一緒に」というと、サナエは文句も言わずに従うし、ゆかりが怪我をした時はサナエがユカリのカバンを持ったりするし。

この三人が仲良くなるきっかけはなんだったんだろうなあ。



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「恋に恋するユカリちゃん」3

本編「からかい上手の高木さん」にでてきたエピソードが、ユカリの視点で語られ直される話がいくつかでてきた。こういうのは面白い。

ところで作者の寿々ゆうまは、以前は山本崇一朗のアシスタントだったそうだ(2巻の巻末にさりげなく書いてあった)。これはナットク。



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「JJM 女子柔道部物語」10

  • 小林まこと「JJM 女子柔道部物語」10(イブニングコミックス)

新刊。全国高等学校柔道選手権(通称春高)の全道大会が始まった。神楽えも、高校二年生の秋である。春高春高といわれるので春にやっているのかと思い込んでいた。えもはまだ二年生のはずだし、変だなと混乱したが、全国大会が春に行われるため春高と呼ばれているだけで、全道大会は秋だ。

さて、ここで旭川南高……ではなくカムイ南校の女子は大活躍をするのであるが、えも一年後輩の才木和泉は漫画のオリジナルキャラだと思っていた。が、後年二人は北海道を代表する柔道選手となったそうで、両者の対決は通算14回行われた……とある。実在の人物のようだ。では、だれのことだろう……とあれこれ探していたら、なんと、実名も才木和泉のようだ。他の実在のキャラクターはあえて名前を変えて登場しているのに、和泉ちゃんは本名での登場なんだ。で、これも今気づいたのだがコシピー越野忠則も実名そのままですね。どういう基準なんだろう?

で、えもと和泉ちゃんだが、全北海道女子柔道選手権大会での戦績は次の通り。

優勝 準優勝 三位
1991 - - 恵本 裕子
1992 恵本 裕子 - -
1993 恵本 裕子 才木 和泉 -
1994 才木 和泉 - -
1995 - - 才木 和泉

なお第一回(1979年)の優勝は八戸かおりだった。



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「恋に恋するユカリちゃん」2

他人の作ったキャラクターを、どうしてここまで魅力的に描けるのか不思議である。ユカリの陶酔ぷりや、サナエのミナのいじりぶりが、「まさにその通り」なのである。

このようなスピンオフ作品というのは、これまでにも「カイジ」の「利根川」や「ハンチョウ」のような例があるのだが、「利根川」「ハンチョウ」は本編では描かれなかった部分に焦点を当てているため、まだわかる気がする(もちろんそこかしこで福本節が炸裂していて、それがオカシイのだけど)。

ところで、登場人物の誰も指摘しないが、本巻にはすごい話がある。ユカリがバレンタインデーに渡そうと、手作りチョコを持ってくるのだ。「頑張って作った」と本人が言っているから、義理チョコではあるまい。もちろんミナやサナエにあげるためでもない(結局は取られるけど)。いろいろあって渡せないのだけど、え? え? いったい誰に渡そうと思ったの!?

サナエから「ユカリにもあげるべき人がいるんじゃない?」と訊かれて「えっ私? 彼とお父さん以外で?」と答えているから、彼がいるってことなの? そうなの?



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「恋に恋するユカリちゃん」1

からかい上手の高木さん」のスピンオフ作品。「からかい上手の(元)高木さん」と同じく、山本崇一朗自身が描いているわけではないが、絵柄がそっくりであるところなどは「からかい上手の(元)高木さん」と同様。むしろ「からかい上手の(元)高木さん」よりさらに似ているかも!? 「ゲッサン」2017年8月号からの連載で「からかい上手の(元)高木さん」とほぼ同時期だが、既に終了している。単行本は全5巻。

「あしたは土曜日」の続編であるが、「あしたは土曜日」では三人組が主人公で、強いて言えばミナが中心だったところを、本作ではユカリを主人公にしている。「からかい上手の高木さん」の数々のシーンも登場し、スピンオフであることが明確である。

コイバナがしたくてしたくてたまらないユカリだが、ミナやサナエとはできず悶々としている。しかし高木さんと西片は結局のところどういう関係!? 浜口と北条さんは?? とドギマギしているのは読者も同じなので、感情移入してしまう。

ギャグも結構面白い。どんな話か知りたくて一冊だけ買ってみたのだが、続けて買うかな……



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「からかい上手の(元)高木さん」1

からかい上手の高木さん」のスピンオフ作品。高木さんが西片と結婚して西片姓になり、第一子を出産したあとの話である。連載開始は2017年7月なので、「からかい上手の高木さん」でいうと単行本の6巻の途中からということになる。

絵柄は山本崇一朗そっくりだし、話の展開も似ている。作者は山本崇一朗のアシスタントか何かなのか、山本崇一朗がかなり手を貸しているのか、そのあたりは不明。山本作品だと言われたら最初は信じるだろう。読み進めていくうちに、違和感を持つと思うが。

前半は主に元・高木さんと娘ちーとのやりとり。途中でお父さんが登場する。娘はまだ幼く、母子のやりとりは、かつての高木さんと西片とは比ぶべくもない。夫婦のやりとりは相変わらずキツそうだが、元・高木さんにしてみれば、「キスできたら西片の勝ちね」という手が使えないわけで、本編に比べたら非常にマイルドである。ほほえましくていいけれど、一冊読めばいいかな、というのが率直なところ。


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