鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「彼女ガチャ」6(最新刊)

  • 吉宗「彼女ガチャ」6(芳文社

6巻を買おうか5巻でやめておこうか3ヵ月迷ったが、やはり買うことにした。

35話

  • 樋口朱美(レア度?、職業?)
  • 大食いだが、味わうことと、食べ物に対する感謝は忘れない。のちに国会議員になる

36話

  • 青田裕子(☆3ノーマル、会計士)
  • 相手の男は母親の呪縛から離れられない

37話

  • 日下部結衣(☆1、化粧品会社事務)
  • 素顔は不美人だがメイクの腕は達人

38話

39-41話

  • 木下沙織(5)(SR)
  • テレビで藤本彩乃がアイドルになったことを知った沙織は、「彼女ガチャ」の運営者に接近する。新たに登場した咲良という女性の正体は……?

これまでのおさらい。

女性 概要
1 1-2 藤本彩乃(1)(2)(☆4レア、書店員)、山本房江(☆4レア、おばあさん) 趣味が一致すると思われたが
1 3-4 富田祥子(☆3ノーマル、アパレル) 小心者のDV
1 5-6 中西明美(☆3ノーマル、証券) イキり過ぎ
2 7 片瀬桃花(☆3ノーマル、巨乳) 本気で好かれたけど
2 8 牧瀬亜紀(☆4レア、茶道家 嫉妬深い
2 9-10 飯田明美(☆2ノーマル、会社員) ダイエットして失恋
2 11-12 真田夕香(☆2ノーマル、無職) 余命わずか
2 13 木下詩織(☆?ノーマル、元陸上選手) 藤本彩乃を救おうとするが
3 14-15 神崎優(☆5スーパーレア、グラビアアイドル) IT富豪に失恋
3 16 須藤元子(☆3ノーマル、無職) 性格のよい、いい子だったが
3 17-18 木下詩織(2)(3)(☆3ノーマル、体育教師) ハーレムガチャだったのはお仕置きか?
3 19 大野ミチコ(☆1ノーマル、無職) スカウトマンに悪利用され
3 20 三栖唯(☆3ノーマル、アルバイト) アイドル目指してパパ活
4 21-22 小澤美和(☆3ノーマル、主婦)、上野由里子(☆3ノーマル、大学生) 夫は妻が当たるまでガチャを回し続ける
4 23 吉田敦子(SR) 付き合う相手はみな幸せになるが、誰も彼女を幸せにしてくれない
4 24 水虫交響楽団(お笑い芸人) 期間限定ペアガチャ(二人と付き合える)
4 25 新條小夜 男ががずっと好きだったのは、小夜の双子の姉の真昼だった
4 26 江夏球子(☆3ノーマル、飲食店ホールスタッフ)、千葉紗子(☆3ノーマル、会社員) 趣味が同じ人を探せる趣味ガチャ
4 27 木下詩織(4)(☆4レア、体育教師) ついにスーパーレアになれたか……?
5 28 広末海(☆4レア、派遣社員 課長からパワハラ・セクハラを
5 29-30 三木谷多香子(専業主婦) 真面目な彼を振ってDV男と結婚したが……
5 31 花田良佳(☆3ノーマル、占い師) ガチャの相手との相性が悪いことを占いで知った良佳は……
5 32 小泉愛(☆3ノーマル、飲食店アルバイト) 幸せな結婚をしたはずだが、男は元カノが忘れられない……
5 33 藤本彩乃(3)(4)(☆6SSR) いつの間にかSSR(スーパーレアの上)に昇り詰めていた


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「無重力少年」3(完結)

流風はなぜこんな不思議な力を授かったのか、流風と親しくなるとこの力がうつるが、それはやがて消えていく。なぜ、どういう時に消えるのか? 流風本人の力もいずれ消えるのか?

夏希と夕海のわだかまりが解けて、本当の意味で両想いになったら、夏希の力が消えてきた。それを見て風子は、好きな気持ちも引力、お互い引きあって安定すると力が消える、と考える。もともと、流風が強い孤独を感じた時にこの力が芽生えたのではないか……

そして紆余曲折あって流風と風子が両想いになると、流風の力も消えていくのだった。

というわけで最後は二人のちゅーで幕を閉じる。ま、超能力の謎も解けたし、主要登場人物の四人はすべて両想いになり、ハッピーエンドですね。潮崎鉄郎はどうなったかわからないが、この人は当て馬なので仕方がない。

あとは番外編が二編と短編がひとつ。番外編の中で、この力は流風のことを好きな人にしかうつらない、しかも好きの気持ちが強いほど強くうつる、ということが明かされる。だから夕海にうつった力は弱かったし、夏希にはそれなりにうつったけど、風子にうつった力は夏希よりはるかに強力だったわけですね。



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「無重力少年」2

風子を盗撮しまくっている人がいると思ったら、元彼・潮崎鉄郎だった。元彼といっても、潮崎が告白してきた時、彼氏の一人くらいいた方がいいよねと思った風子は、潮崎が嫌いではなかったためOKしたが、手を握られて違和感を持ち、キスされかけて「自分はこの人が好きではない」と気づき、交際を断わったという、わずか二週間の彼氏。その潮崎が、風子が流風に恋している(しかし片思い)ことに気づき、取られまいとしてか、猛烈にアプローチしてくる。うざいけど、正直、風子の流風に対するアプローチも結構うざいから、この二人は案外似た者どうしではある。まあ、似た者どうしはうまくいかないことが多いと思うが……

休み時間、夏希は右耳、夕海は左耳にイヤホンを指して一緒に聴いているところへ風子が話しかけるが夏希は気づかない。風子が怒るとイヤホンを指していたから聞こえなかったと夏希は答える。左耳が空いていたからそれは嘘だ、私の相手をしたくなかったんだろうと風子はさらに怒るが……これは大事な伏線。

バレンタインに夕海は夏希にマフラーを贈る。夏希は喜ぶが、これは流風に買い物に付き合ってもらって選んだもの。それを聞いた夏希は不機嫌になる……。こういう話を聞いて思うけど、何を贈ったらいいかわからなかったら、友人である流風に聞いたり、買い物に付き合ってもらったりするのではなくて、なぜ本人に尋ねないのだろう。なぜ本人と一緒に買い物に行かないのだろう。いくら自分への贈り物を選ぶためとはいえ、彼女が別の男と一緒に買い物に行ったりしたら面白かろうはずがないのは当然だと思うが、なぜそれに気づかないのだろうか。世の中のサプライズ神話というのは異常だと思う。

さて、せっかく流風との距離が縮まりかけたのに潮崎が邪魔するせいでまた距離が開き始めた時、空を飛ぶ気球から風子が落ちるという事件が起きる。一緒に乗っていた流風が即座に一緒に飛び落ち、風子を救う(引力を調整すれば落ちてもヘーキ、ということらしい。風子はまだ体重調整に慣れていない)。命が助かった風子は思わず流風にキスをするが、その後は恥ずかしくて顔を合わせられなくなる。

そんな矢先に夏希、夕海、流風、風子の四人で沖縄にアルバイトに行くことになり……

かつて、流風から能力をもらった夏希は崖を歩いていて海に落ち、大けがをした。そのことに流風は自責の念を感じ、親しくなると能力を移してしまうから誰とも距離を置くようにしたり、夏希の言うことに逆らわないようにしたりするようになった……というのはこれまでに明かされていたが、夕海が流風からもらったペンダントを落としてしまい、それが崖の途中に引っかかっていたため、それを取りに行こうとして落ちたこと、その事故のせいで左耳がほとんど聞こえないこと、そのため好きだったダイビングができなくなったこと、夕海が夏希に告白してきたのはその直後なので、夕海は同情で自分と付き合っているのではないかという疑念が消えないこと、を夏希が告白する。

実は夕海は前から夏希が好きだったが言えなかった。流風は夕海が夏希とうまくいくように、応援のつもりで幸運のペンダントをあげたのだった。

風子は流風に告白。流風は、風子と友達ではいたいけど彼女とかは考えられないと返事。

真面目な恋バナよりも、沖縄の海でナンパしてきた大学生に、サーフィンで負けたら帰れとサーフィン勝負を始めてしまう展開が好きだ。



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「無重力少年」1

「りぼん」2001年9月号より連載された作品。これまで紹介してきた作品だと「爆風シンデレラ戦線」「青春してるかい!」に続くことになる。実際には「Wピンチ!」(全4巻、未読)という作品が間に入るようだ。

学園ラブコメだが、超能力者が登場し、後年の亜月亮の萌芽が見られる作品。これまでの作品と比べ、目も少し小さくなっている。もっとも超能力は単なる小道具であり、話の展開は(絵柄も)典型的な少女漫画風(という言い方が当たっているかはわからない。少女漫画に詳しくない身にはそのように見えるが、カラっとしたコメディは珍しいか?)。

船越流風は遅刻の常習犯で、他の男子とあまり口をきかず一人で過ごすことが多い。

小波風子は明るく物おじしない性格。船越が屋上の手すりの上を歩いていたのを見て以来、彼に興味を持って接近する。

実は船越は重力をコントロールすることができる超能力を持っており、そのためビルの壁を普通に歩いたりすることができる。また、この能力は船越と親しい人には「うつる」という特徴があり、船越の親友の夏希、夏希の彼女の夕海も同じ能力を持っている。そして船越につきまとっているうちに、風子もこの能力を手に入れることになる。

こうした能力を他人に知られたら大変なことになると思うが、彼らは校舎の壁を歩いたりし、隠そうとしていない(その割に風子以外は彼らの能力に気づかない)。

風子は船越のことが好きになるが、夏希は風子のことを嫌っている。そして船越は夕海のことが好きなのだった……その後に巻き起こるドタバタ騒ぎをいちいち書いてはいられないのでバッサリ省略するが、船越から離れろ、という夏希に対して、風子が「じゃあ勝負だ!」と言ってバスケットボールの勝負を持ちかけるところはツボ。それいったい何の関係があるの?

パロディ

小波が見せる雑誌の「怪奇写真大募集」のページに描かれるサンプルの写真は、楳図かずお描くところの「怯える人」そっくりの絵だ。1970年生まれの亜月亮が物心ついた時には楳図は恐怖漫画は描かなくなっていたはずだが、こういうのを見ると、改めて楳図の残した影響の大きさを感じる。

ギャグ顔になった時は、初期のこいずみまりに似ている(時代的にはこいずみまりがあとか)。

発行

「爆風シンデレラ戦線」はビーグリー、「青春してるかい!」はJコミックテラス、本作はナンバーナインによる。集英社はそういうことをする気がないってことね。



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「裏都市伝説」

裏都市伝説

裏都市伝説

Amazon

「裏都市伝説」一話完結の話が4話、それとは関係のない短編が1話の短編集。

ホラー&サスペンス系の作品かと思ったが、実際幽霊や異形の者が登場するのだが、設定のみで終わっていて追求が甘い。せっかくなのにもったいない感じの作品。

発表順と収録順が一致しない。発表順でいうと、4話目が最も早く、足掛け3年にわたって4つの話が描き継がれたことになる。

最後の短編は、冒頭から少女漫画風ギャグにあふれていたと思ったら、最後のオチもギャグ。これはこれで面白いとは思うが、この作品集に収めることがよかったのかどうか。

第四話の話中に、書店の棚が描かれる。そこに並んでいる本は絵ではなく写真のようだが、作者名のところがわざとぼかされている。調べてみるとこれはすべて亜月亮の作品のようだ。思ったより多作なのだな。これによると、「都市伝説」が9巻まであり、さらに「闇都市伝説」「都市伝説Jr」「これは、本当にあった話です」などの作品がある。「裏都市伝説」はこの系列の作品なのか。

本の中には記載がないが、Jコミックテラスのによる出版のようだ。なぜマーガレットコミックスとして出ないのかなあ……

初出一覧

作品名 掲載誌 出版社 掲載号
裏都市伝説 ミノヒメサマ マーガレット 集英社 2014年16号
裏都市伝説 かくれんぼ ザ・マーガレット 集英社 2013年8月号
裏都市伝説 夏に還る…… ザ・マーガレット 集英社 2015年10月号
裏都市伝説 古本 マーガレット 集英社 2013年10号ふろく
キミを呪わば50年♡ マーガレット 集英社 2014年3・4合併号


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「汝、隣人を×せよ。」3(完結)

  • 亜月亮「汝、隣人を×(バッ)せよ。」3

「一生一殺法」はいろいろと批判もあるようだが、これが施行されてから、職場でのパワハラ、セクハラ、学校でのいじめ、家庭内DV問題は激減したそうで、外国でもこれを取り入れるところが出てくる……

2巻でも触れられたように、意外と穴の多いこの法制度だが、3巻では次の事実が示される。

  1. 殺益権は譲渡できる
  2. 本来は殺益対象にならない人も複数の殺益申請が集まれば殺益となる。これにより不祥事を起こした政治家やブラック企業のCEOなどにも適用が可能になる
  3. これまでは殺益申請が受理されても、対象者が海外に移住すれば殺益実行はできなかったが、その国が「一生一殺法」を適用されれば国家間で対象者の引き渡しまたは現地での執行が可能になる

1は、作品内では描かれていないものの、問題が生じるだろうことはすぐに想像がつく。金銭による売買は禁止されているというが、暴力・権力その他、取り上げる方法はいろいろある。本来は弱者を守るためのものだったが、それが逆転しかねない。

2は、作品内でも悪い噂を流された大臣が殺益されるシーンが描かれたが、こんなことがまかり通れば有名人はみな枕を高くして寝られないだろう。

終盤、「こんな狂った法律が支持されるなんて日本は終わりだな」と外国人に言われるが、諸外国でもこの法を取り入れるところがどんどんでてくる……というところで終わる。

結局、システムが暴走し、自己崩壊を起こし始めたということだ。なんという救いのない終わり方だ。こんなヒリヒリする話があっていいのか(褒めてます)。

ただし、こういう終わり方をした以上、続編は期待できない。3巻の前半までのレベルの話がもっと読みたかったが。同じ作者の他作品に期待だ。



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「汝、隣人を×せよ。」2

  • 亜月亮「汝、隣人を×(バッ)せよ。」2

1巻では、ひじめの被害者が一殺権を行使することになり、一人だけの相手として誰を選ぶのか? というミステリー風の話もあったが、基本的に選ばれた人は読者から見て「殺されても仕方がないな」と思えるような人だった。つまり漫画的には「こういう制度もありじゃね?」と思わせてくれるようなリアリティがあった。

この路線がずっと続くのかと思ったが、2巻では、この制度上の矛盾を突くような話が登場する。

「一生一殺法」を利用して自分の親や配偶者を殺した場合、遺産を相続することはできない。財産目当てを防ぐためだ。が、これの裏をかいて、AがBを殺したいと願い、XがYを殺したいと願っているとき、AとXが共謀してAがYを、XがBを殺益するという話。

また、殺すに値する人物だと判断して殺益を行使したが、実は誤解で、ただ真面目で不器用なだけだったことがあとでわかった、という話。

こういう事態が簡単に許容されてしまうのだとすると、かなり問題だと思わせる。だからこそリアリティがあるともいえる。

よく考えられた話だ。



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