生まれたばかりの北の子どもがゆっくりと成長していくところと、その周囲の人の様子がこの巻のメインストリームであるが、成長したさと子が回想する体で両親の離婚や弟との別離も、何度かにわたって描かれている。それが強いアクセントになっている。
小島が離婚した時、父のところに残ることを主張したのはさと子自身だったようだ。お父さんが一人でかわいそうだから。
恐らく離婚直後と思われるが、小島がさと子を連れて日曜出勤すると、そこに社長がいて、例の訥弁でさと子に話しかけるシーンがある。「お父さんはね、溶接がとても上手なんだよ。お父さんの腕のおかげで工場のみんなが助かってるんだよ」と。この一言のおかげてさと子はずっと父を尊敬し、慕うことができた。また、その話を別所している弟たちに伝え、それで弟らが溶接工を目指すようになる。だから大学生になった今、家庭教師をしている近所の男の子に、君のお父さんはすごいんよ、と話しかけてみるが聞いていない。
その他のトピックス:
- 北さんの奥さんは息子に「孤太」と名付けた後も「ポコちゃん」と呼んでいる。
- 西田さん、貯金が2000万円あって使い道がないからといって何かと大盤振る舞いしているけど、老後を考えたら、とても安閑とできる額ではないと思うのだが……
- 社長の奥さんが乗っている自動車って、もしかしてBMWか? なんだかんだいってそれなりに儲かってはいるのね?
- 社長の奥さんは残業用に今井のパンを購入して配っている。これまでも残業時に夕食を提供していたのか? それとも今井がパン屋を開業してからか? 泣かせる恩情だが、この今井パンが硬くて小島らに評判が悪いところが泣ける。
- 今井が工場にやってくる。社長から何か話があったようである。なんの話だろう?