鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ぼくの家族」

ぼくの家族

ぼくの家族

kindle本の出版社は不明だが、作品はYOU(集英社)に掲載されたもの(2008~2009)。

他人の感想を引っ張ってきても仕方がないのだが、Amazonのレビュー欄にあったこの文章が刺さったので、引用する。

小学生女子の子連れ再婚同士の、ステップファミリー構築記。

義理の娘としっくりこなくて、要領の悪い実の娘が可愛くて不憫で、要領のいい義理の娘を甘やかす夫や義理の両親にもしっくりこなくて、でも色々なころが少しずつましになってきて家族ができていく、という話。

最終話は10年後くらいの後日談で、どちらの娘も美しく成長し、それぞれの道を生き生きと生きているというハッピーエンド。

ハッピーエンドなんだけど、朴訥として可愛い実の娘の描写に比べ、最初から最後に至るまで義理の娘の描写がなんか可愛くない。いや、最後はとても美人でいい子に書いているのだけど、一貫して清潔感がない。

やはり主人公にとっては全面的に受け入れることは難しい存在であるということを意味するのか。義理の娘に幸あれ。

フィクションであることはわかってはいるのだけれど、子連れ再婚同士という設定でどうしても作者の実生活とリンクさせて見てしまう。

自分の中でモヤモヤしていたことを150%正確に言語化してくれた感じ。

一話目は子連れ同士で再婚し、一緒に暮らし始めたところから物語が始まる。が、生活は楽にならず苦労をしょい込んだ感じでめげそうになる。二話目もそれは変わらない。夫は無理解とは言わないがあまり理解があるとはいえず、苦労は増える。読んでいてつらくて、読むのをやめようかと思ったほど。が、まあ一冊だけだからと読み進めたら最終話はかなり前向きな話でよかった。

いろいろあったけど、別れることなく結婚を維持し、二人の子供はそれなりに自立し、長い時間をかけてゆっくり家族ができていったということ。もっとも、結局この夫婦は別居婚を選択したので、なんのために結婚したんだろうと思わなくはないけれど。

広海がどうにも切ない。人の気持ちがわかってしまい、それを内に溜めてしまうタイプ。学校に行けなくなってしまうほどだから、よほどのことだったんだろう。最終話で、今ここにこうしていられるのは家族のおかげ、と言っているのはあながち嘘ではないと思うから、彼女なりに乗り越えたんだと思いたい。

夫の連れ子であるサリナも、母親である主人公や広海にずいぶんひどい態度を取るので、イライラするが、彼女も両親の離婚で深く傷ついたのだと思う。一見荒れた性格は彼女自身の責任とは思えない。彼女がそれを乗り越えたのかどうかはわからない。サリナにとって、小学生の時、広海の存在は大きかったはずで、感謝の言葉を口にする日が来るか。


漫画・コミックランキング