もう4巻では完全に出来上がったカップルである。周囲も大方そう見ているようである。もっともミナだけは、付き合っているのか高木さんに直接訊き、高木さんが否定したらそれを信じたようであるが……(ユカリのため息が聞こえるようだ……)。
ところで、毎回毎回西片が高木さんにやられっぱなしなのは、もともと高木さんは頭の回転が速く、機転が利く上に、西片がなんでもすぐに顔に出てしまい嘘が付けないのに対し、ポーカーフェースができる点などがあげられようが、それ以前に決定的に異なることがある。
- 高木さんが西片の家に行って一緒に宿題をやろうと提案する。高木さんは西片の家に行くことに躊躇がないが、西片は女の子を家へ呼び、部屋へ招き入れることに動揺する(部屋に女の子が来るなんて夢みたいだと思ったり、誰かに見られたら大変だと思ったりする)(第2話)
- 一緒に下校する時はいつも高木さんから誘うが、西片から声をかけなければいけなくなった時、「女の子を誘う」というシチュエーションに西片は大変な羞恥を感じる(第5話)
- 西片が携帯電話を買ってもらった時、高木さんからアドレスを訊いてくるかと思ったが訊いてくれないから、自分から訊こうとして、緊張する
これに類することは当初からたくさんあった。
- 西片が飲みかけの缶ジュースを高木さんに差し出すと、高木さんは躊躇なくそれを飲むが、高木さんの飲みさしを受け取ると、西片はこれを飲んだら間接キスになるのではないかと思いどうしても飲めない(1巻第5話)
- 雨が降ってきて高木さんが傘を持っていなかったため相合傘で帰るが、始終照れまくるのは西片の方。高木さんは、もっと近づかないと濡れるといって距離を詰めて来る(1巻第7話)
- 腕相撲をしようと言って高木さんが手を差し出す。高木さんは平気だが西片は女の子の手を握るという状況に照れる(2巻第7話)
- 西片がわき腹を触られるとくこそばゆくて我慢できないことを知っている高木さんは、すぐにわき腹を触ってくる。仕返しに西片は高木さんのわき腹を触ろうとするが、どうしても触れない(3巻第7話)
ひとことで言えば西片は真面目で純情なのであり、悪いことではないのだが、これでは高木さんに勝てるわけがない。高木さんがわき腹を差し出して、触っていいよ、と言ったり、いつも自分から誘っているから今日はそっちから誘って、と言うだけで、西片は動揺し、照れまくり、勝手に「負けて」しまうのだから。