鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝」1

  • 倉尾宏「北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝」(ゼノンコミックス)

北斗の拳」のスピンオフは「イチゴ味」も「拳王軍 ザコたちの挽歌」も面白いが、これは決定版。ずいぶん前に第2話を読んだことがあって、「こうきたか!」と驚き、感心させられた覚えがある。

それが単行本化されたというので、即購入。

とにかく笑える。一冊読んでこんなに笑ったのはあまり覚えがない。それだけでも傑作といえる。

この世界には「北斗の拳」という漫画は存在せず、そういう題名の新しいタイプの実写ドラマを生み出そうとしている監督や、役者や、スタッフたちを描いた物語。いかにしてあのような表現にたどりついたか、CGのない時代にいかに撮影したか、そういった苦労話がメインで、登場人物たちはみな真剣で真面目なのだが、完成された作品を知っている我々が見ると、そのギャップがオカシイというわけである。

だから原作を知らないと面白くないと思う。「北斗の拳」の連載は1983年から始まった。40年も前の話だ。有名な作品で、単行本は様々な形で何度も刊行されているし、アニメにもパチンコにもなったので、タイトルや、ケンシロウの顔ぐらいは誰でも知っているかも知れないが、原作のストーリー、特に序盤の展開となると、今の若い人は知らないのではないか。彼らにもわかるくらい広まっているのか。それとも自分のようなオジサンオバサンに受けているのか。

最後のスキャンダルはとどめを刺された。先が気になる。2巻はいつ出る?

雑感

  • ケンシロウが種もみをお墓に蒔くシーンは、原作を読んだ時に自分もひどいと思った。そんなところに蒔いたって育つわけがないじゃないか、このじいさんの苦労を無にする気か、と。
  • ケンとシンが初めて対決するシーンで、シンは飛び蹴りを放ちつつ、「南斗獄屠拳」と叫ぶ。監督は蹴りなのに「拳」はおかしい、「南斗獄屠脚」ではないかというが、この「拳」は「拳法」の意味だから、蹴りだろうがなんだろうが、南斗聖拳の技であれば問題ないのではないか。


漫画・コミックランキング