- 織田涼「能面女子の花子さん」7
1巻で花子さんや香穂ちゃんの入学式の場面から始まったこの物語は、初めてのお正月、そして三年生の見送りの話となる。ようやく一年次が終わる。2015年8月から始まった連載だから、現実世界では6年が経っている……。
掲載誌の「ITAN」が隔月刊だから致し方ない、と思って確認したたところ、なんと「ITAN」自体は2018年に廃刊になっており、現在は「BE・LOVE」(と「コミックDAYS」)に月一で連載しているようだ。まあ「からかい上手の高木さん」も二年生になるのは単行本16巻だから、それに比べればマシか。
前巻に登場した松田一の奥さんは、なかなかユニークなキャラだったが、登場せず。サブレギュラー化するのかと思ったがスポットだったようだ。ちょっと残念。
柳沢要は、名前は以前から出ていたが、本人は初登場かな? なかなか渋いキャラだ。
第58面の、中学生の恋物語は素敵な話だ。花子さんに背中を押された中学生女子が、好きな男子に「いっぱい話をしたい」と勇気をだして告白するシーンが好きだ。
第60面で、坂本が小野寺を泣かす話が面白い。
第64面で、NO面ガールズ初登場(名前は以前から出ていたけど)。
第65面、真鍋ゆい(花子のいとこ)の友人・江口カリン(香穂の妹)が言いたいことをズバっと言ってくれてカッコいい。男前、という言葉は、令和の世にはあまりふさわしくないが、こういう人のことを他にどのように形容すればいいのかわからない。
というように、話としては面白いものが続く。しかし大きな展開がなくマンネリ感も否めない。
「川柳少女」「からかい上手の高木さん」「佐伯さんは眠ってる」など、仲の良い片思いカップル(お互いに相手のことが好きで仲はとてもよいが、一方は相手に恋しており、相手は恋愛を意識していない状態)がその状態で均衡を保ち、長く続いているのは、邪魔をする人がいないからだ。本作は1巻で松田三郎が登場して花子とケンちゃんに割り込み、三角関係になる。それなのに、その危うい状態が何も変わらないのはいかにも不自然だ。