鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「手塚治虫アシスタントの食卓」全2巻

1巻は2019年4月10日刊。2巻は2021年11月10日刊。

三年くらい前に1巻を購入。その時は、面白くもありそうでなくもあり、正直なところさほど印象に残らず、そのまま存在を忘れていた。最近、こんな本を持っていたんだと思って読み返したら、面白い。2巻が出ていると知って、さっそく購入。

堀田あきおは1978年から2年7ヵ月、手塚プロダクションに勤めていたことがある。要は手塚治虫のアシスタントである。話は手塚プロに入社した時から始まり、主に辞めるまでを描いているが、その後1983年に結婚するところが描かれ、1989年2月、手塚治虫が亡くなられたところで最終回となる。

表のテーマは、手塚治虫のアシスタントが何を食べさせてもらっていたかということ。実際にはアシスタント生活の苦悩や、手塚治虫の仕事や人柄、同じアシスタント仲間の紹介がメインである。

同期のわたべ淳高見まこが結婚したのは知っているが、堀田あきおも同期の石坂啓と結婚したとは知らなかった。堀田あきおの妻はかよで、石坂啓の夫は名物編集者の立川ではないのか、と驚いたが、すぐに離婚し、それらは二度目の結婚相手なのだった。

失礼を承知で申し上げるが、交友関係が狭いんだなあ、と思う。もっとも、ここに描かれたような生活を送っていたら、業界外、いや手塚プロ外の人と知り合う機会もないし、付き合う時間もないのは当然だが。若い時期にそのような生活を送ることが、漫画家という作家、芸術家として大成するために必要なのだろうか。疑問を感じるところではあるが、それはそれとして、手塚治虫という偉大な人がいて、その許から、この時期に限っても何人ものプロの漫画家が育って行ったという貴重な記録である。



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