鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「君について行こう」

1995年10月15日刊。

先日読んだ「宇宙兄弟小山宙哉大解剖」に、小山宙哉は本書を読んで「宇宙兄弟」の構想を得たとあったため、読みたくなり、さっそく注文し、それが届いた。

全部で26章に分かれている。そのうち3章まで読んだところ。まだほんの序盤であるが、ここまでのところをいったん記しておく。

「君について行こう」というタイトルはいいと思った。が、サブタイトルの「女房は……」という呼び方がちょっと気になった。

本文を読み始めて驚いた。「女だてらに」とか「女のくせに」とかいう言い方が頻出するのだ。いったい何なんだこの人は、と思った。あるカンファレンスで、著者が発表している時に、他の聴講者は居眠りしたりよそ見したりしているのに、チアキさんだけは真剣に聴いていたので、もっと力を抜けよと心配になった……というくだりがある。こんなに女を小ばかにする先輩らの中で生きて行かなければならないのだから、力を抜いている場合ではないのだろう。ガラスの天井のない著者に、この気持ちはわかるまい。

著者は1947年、つまり終戦後すぐの生まれで、本書の刊行は1995年とあれば、この程度は不思議はないのかも知れないが、恐らく本書の刊行直後に読んだとしても、自分は違和感を持ったはず。

その後、著者はチアキさんと親しくなっていき、ついに結婚を申し込む。が、チアキさんは最初は乗り気ではなかったそうだ。向井先輩はとてもいい人で、尊敬しているし、親友だと思っている、だけど、男女平等の気持ちがない人だから、結婚相手としてはちょっと……と言われたそうなのだ。

そして、自分に男女平等の気持ちがないことをこの時は自覚していなかったが、結婚後に的中していたことがわかり、その後チアキさんを苦しめた、と書いてあった。つまり、本書の執筆時にはさすがに自覚があって、敢えて当時の気持ちを書いているということだろう。その後、どうやって気づき、どう改善されたのか、本書を読み終わる時には明らかになっていることを期待して、読み進めたい。

なお、前掲書には、チアキさんはせりかさんのキャラを作る際に参考にした、とも書いてあった。確かに食欲旺盛だとはあるが、これまでのところ、弟ふたりと妹のいる四人兄弟の一番上で、常に長女として振る舞わなければいけなかった点などは、むしろ絵名ちゃんそのものだ。