鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「よなきごや」下(完結)

  • かねもと「よなきごや」下(電書バト)

2024年2月15日刊。

前作の感想に「利用者が(今のところ)女性だけなのが気になる」と書いたら、冒頭の話はさっそく父親が主人公だった。

ほか、二十歳で妊娠した子の話、子を持って初めて母親の気持ちがわかった話、子どころか結婚する予定もその気もない女が、当初は育児に振り回されて迷惑をかけられることを苛立たしく思っていたけれど……という話など、バラエティに富んでいる。独身の人間、既婚だけど子どもがいない人から見た育児というのはいろいろな視線があると思うので、もう少しあってもよかったかなとも思うが、あまりくどくど続けず、2巻できちんと完結したのもイイと思う。

最終話は、一話に登場した二人が再登場し、一話の時とは変わっているところを見せてくれたのは素晴らしいラストだ。運営者らしき人が最後にチラと見えるのも嬉しい。

「よなきごや」は今のところファンタジーだが、こういう仕組みのレンタルルームは実現不可能ではないのではないか? と思わなくもない。費用の問題とセキュリティの問題をクリアすればいいわけで、そのためにはあれと、これと……と思ったり、そもそも「よなきごや」がなくても済むならそれが一番いいわけで、そういう方向に世の中が進むといいなと思ったり。