2024年2月29日刊。もちろん即日購入。
重野なおきは、これまではもっぱら白泉社で描いていたが、「雑兵めし物語」は竹書房、本作は双葉社である。活動の場を広げていくのは望ましいことだが、よくこんなにたくさんの作品を並行して描けるなと驚くばかり。それも、舞台はすべて戦国時代で、登場人物も共通する。だからできるのかも知れないが。
歴史を上部構造と下部構造に分けるとしたら、「信長の忍び」や「黒田官兵衛伝」「真田魂」などは上部構造を描いた作品といえる。対して本作は下部構造に焦点を当てている。
夫婦のイチャコラを通じて、石田三成の人格や成した仕事について描くという側面もあるのだが、むしろ当時の社会や世相、庶民の生活を描くことに主眼を置いている……ように見える。それでいて、話はきちんと面白い。こうした多彩な描き分けができるのが、重野なおきの凄いところだ。