鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「佐伯さんは眠ってる」2

普通の学園ラブコメではない、違いが説明できないが、と前回書いた。2巻も読んでみてわかったことがある。

登場人物が、基本的に佐伯さんと時宮の二人しかいない。時宮が悩みを打ち明ける友人や、佐伯さんの幼馴染のあっくんとかは一応出てくるが、狂言回しとして出てくるだけで、彼ら自身のドラマはない。それ以外の人は存在が希薄だ。

ストーリーの型が決まっている。昼食後の五時限目、佐伯さんは眠りたい。しかし授業はサボらない。もちろん、居眠りを認め、許容する教師はいないから、いかに教師の目をかいくぐって居眠りをするか、という攻防戦をひたすら描いているのである。時宮は語り部で、基本的に何もしない。

このように書くと、隣人観察ものである「となりの関くん」とかなり近いが、大きな特徴は、時宮の視点で語られるその時宮は佐伯さんのことが好きなので、つまり佐伯さんが可愛くて仕方がないのである。そして、応援してやりたい、見守ってやりたいという気持ちが溢れている。

この点で、「川柳少女」のフォロワーなのかも知れない。本作も「川柳少女」の七々子同様、いかに佐伯さんをかわいく魅力的に描くか、そこが重要なのかも知れない。

とこう書いている自分は、近年の漫画のキャラクターの中で佐伯さんは図抜けて可愛いなあ、と思ってしまったからである。

本巻では、佐伯さんと時宮が休日に一緒にホームセンターへ買い物に行く。私服で行動を共にするのは初めてだ。ガンバレ時宮。二人の仲は少しずつ縮まっているぞ。



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「佐伯さんは眠ってる」1

当初は、森繁拓真の「となりの関くん」、福田泰宏の「まどからマドカちゃん」の系譜になる「シュールな隣人観察もの」かと思った。類似点も見いだせるが、佐伯さんの性格はややシュールな点はあるものの、行動はちゃんと現代科学で説明できる範囲内に収まっている。

その上、佐伯さんの活動範囲は広い。授業だけでも教室内だけでなく、体育、理科の実験と多岐にわたり、さらに掃除、委員会活動、そして帰宅(帰途)、自宅とさまざまなシーンが描かれる。もっとも、そのほとんどで時宮が隣にいるわけだが。

普通の学園ラブコメとも違う。まあ、「普通の学園ラブコメ」が何かといわれても定義できないのだが、明らかに異質だ。

本作のハイライトは、第8話の終盤の佐伯さんの(時宮くんへの)セリフだろう。破壊力抜群。

「時宮くんになら、いいよ」

時宮も読者も、クラクラやられたところで次の巻へ。



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「課長バカ一代」2

1巻が予想外に面白かったため、2巻も買ってみた。

正直なとこと、あまり感心しなかった。

ギャグは面白い。それは確かだ。が、絵が下手過ぎて、読み続けるのはつらかった。

古来、ギャグマンガというのは赤塚不二夫などがその典型だが、極端にデフォルメされた絵に、ほとんど何も描き込まない背景、というスタイルがある時期までに確立されていた。

劇画タッチでギャグマンガを描く、というのは誰が始めたのだろう。「アオイホノオ」では焔燃が思いついたが細野不二彦に先を越されたことになっている。とにかく、落差の大きさで笑わせようとするからには、劇画がきちんと描けなくては話にならない。

「魁!!クロマティ高校」の時代もさほど絵が上達したというわけではないのだが、あまり気にならなかったから、そこは自分なりの落としどころを見つけたということなのだろう。



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「魁!!クロマティ高校」3

表紙およびグラビアの、実写マスクド竹之内がオカシイ。女二人はなんなん? 奥さんと娘さん? イヤ高校生の設定なんだからお母さんと妹か?

で、本物の竹之内はアメリカでマフィアの幹部になっていた。

ワルばかりの集まるクロ高で、ひ弱な神山は良くて浮き、悪ければいじめられると思いきや、抜群の破壊力で一目置かれるどころか、ついに日本番長選手権で優勝してしまった。この神山に激しい敵愾心を燃やすデス高の山口。

マニエル高校の藤本貴一初登場。実生活では乱暴者だがネットの書き込みは紳士的。

マスクド竹之内が大活躍。ついにマクラ道に目覚め、免許皆伝を得る。



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「魁!!クロマティ高校」2

じわじわくるねえ。

ワルばかりの集まるクロマティ高校で、秀才で青びょうたんの神山は浮きまくる(もしくはいじめられる)かと思いきや、破壊力抜群で一目置かれる存在である。

馬で通学するフレディ、バース高に何度人質に取られても助けにきてもらえない前田、デストラーデ工業の番格・山口のお笑い好き、乗り物酔いの竹之内とハイジャック犯が入れ替わってしまう件とマスクド竹之内、などなど……。2巻ではメカ沢の活躍する場面が少なかった。

名前を覚えてもらえないクラスメートの自己紹介を妨害する話、二回続けてとことん畳みかけるところがいい。


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「課長バカ一代」1

昨日、「課長バカ一代」について、「面白いことは面白いが……程度の認識だった」と書いた。その後、1巻だけ持っていたことを思い出し、読み返してみた。

オカシイ。ガマンデキナイ。何度も破顔してしまった。

タイトルは梶原一騎の「空手バカ一代」からだろう。内容は島耕作を連想させる部分もある。絵柄は確かに池上遼一を彷彿させるが、しりあがり寿のキャラを劇画化したような人物もおり、他にも「どこかでみたような」ものがいくつか目に付いた。もちろん、これらは意図的だろう。

一巻だけでは物足りない。続きを買っちゃおうかな……


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「魁!!クロマティ高校」1

野中英次の名前は「課長バカ一代」の時代から知っていた。掲載誌の「ミスターマガジン」は読んでいなかったはずだから、どこで知ったのか。同時期に「モーニング」で「ドリーム職人」を連載していたから、それで知ったのかも知れない。もう20年以上も前の話だ。

課長バカ一代」は面白いことは面白いが、絵を池上遼一に寄せるならもっときちんと真似ればいいのに、と思っていた程度の認識だった。その後「少年マガジン」で「魁!!クロマティ高校」の連載が始まったが、これは滅茶苦茶ハマった。初回から面白かったわけではないが、回を重ねるごとにじわじわと効いてくる感じであった。「じわる」というのはこういう時に使う言葉なのではないか。

kindleで出ていることを知り、さっそく一巻を購入。笑える。



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