鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「真田魂」3(最新刊)

1巻、2巻の発売ペースから、3巻の発売はまだ当分先になるかと思い込んでいて気づくのが遅れた。

上田城攻防戦は大河ドラマ真田丸」で見た通り(千鳥掛けの柵も出てきた)だが、その後の北条氏邦矢沢頼綱との沼田城の攻防戦は知らなかった。上田城では真田2,000に対し徳川7,000。沼田城では矢沢2,000に対し北条は30,000という。こっちの方がはるかにすごいじゃないの。

で、石川数正が徳川から秀吉に寝返り、真田や上杉は秀吉につくことにし、信繁は人質として大阪城へ送られる。真田は徳川の与力とされてしまい、信幸が家康に挨拶に行くと、本田忠勝の娘の稲を家康の養女にしてから信幸に嫁がせるという。断われない信幸は、正妻の清音を離縁して稲を正妻にし、清音は側室とした。一方大坂へ行った信繁には大谷吉継の娘・竹が嫁ぐことに。北条もいったんは秀吉につくことを決意したが、沼田の地の名胡桃城の攻防をめぐるトラブルから豊臣は北条を征伐することになった……

ということで4巻へ。

キャラクターの作り方が独特なので、わかっている筋書きでも何度読んでも面白い。3巻では序盤では戦闘を描いたが、それ以降は主に外交(駆け引き)を中心に描かれている。これがよくできているのだ。



漫画・コミックランキング

「第二第四火曜日の恋」1

  • 高瀬わか「第二第四火曜日の恋」1(イブニングコミックス)

高瀬わかの作品は「かわいすぎる男子がお家で待っています」だけだと思い込んでいたが、Amazonのお薦めに他の作品が紹介されていて、とりあえず本作を購入してみた。

律は喫茶店「モディー」で働いている。その店には第二・第四火曜日に必ず訪れる男性客があり、律はその人に恋してしまった。最初はどんな男だか(外見以外は)全くわからない。が、回を追うごとに観察と些細な情報から、独身であることや、年齢、名前などが少しずつわかってくる。

いつも律の視点で物語が語られるが、途中で男の視点で語られる回があり、出勤日(?)のはずなのに事情で店に行かれない日があったり、最後は店の外で会ったりと、お互い同士はほとんど口をきかないのだが、なかなか変化に富んだ7つの恋物語になっている。

これ、話としては全7話で完結していると思う。最終ページのイラストでも「読者のみなさま、またどこかでお会いできますよう」と書いてある。しかし、1巻とも明記されている。不思議だ。

不思議といえば、Wikipediaに「高瀬わか」の項目がないのも不思議だ。高瀬わかに限らないのだが、ある漫画家の作品を読んでいて、この作品についてもう少し詳しく知りたいな、とか、他にどんな作品を描いているのかな、と思って検索しても、Wikipediaに記載がないことがよくあって(「彼女カチャ」の吉宗とか、「ふたり明日もそれなりに」のすずゆきとか)驚いている。Wikipediaは誰でも書けるのだ。なぜ自分で書かないのだ! 私は紙がすべてですパソコンもスマホも使いません、という信念ならばそれも結構。ただ、twitterやらblogやらnoteやらに手を出すのであれば、何はなくてもまずWikipedia、だと思う。



漫画・コミックランキング

「かわいすぎる男子がお家で待っています」6(最新刊)

  • 高瀬わか「かわいすぎる男子がお家で待っています」6(マーガレットコミックス)

ハルと二人で過ごす初めての誕生日、レオがハルを連れてきたのは箱根の温泉旅館だった。それで、ついに二人は結ばれることになる。4巻で付き合い始めて一緒に暮らしている二人が結ばれるのが6巻とは遅過ぎるが、とにかくめでたい。

自分だったらこういう時、翌朝、ゆうべのことが夢でなかったことを確認したい、相手がついに自分のものになったことを改めて実感したい、という思いから、絶対にもう一度抱きしめると思うが、この二人は朝風呂行って着替えて終わり。恥ずかしくて照れまくっているという設定のようだが、どうかなー。作者自身がそういうことを書くのがあまり好きではないのかなと思う。

僕は何も、行為そのものを露骨に描けとは言わない。しかし20代の、結婚も意識するオトナが、相思相愛で付き合うようになったら、そういうことをするのはごく自然で当然のこと。そこを避けて描くのは不自然だと思うのだ。むしろ、二人が温泉に行ったということを知った知り合いが、今頃やりまくってるんだろうな、などと想像する方が(そういうシーンを描く方が)下品で厭だ。

とにかく、今後は「出来上がったカップル」として、堂々と愛を育んでいってほしい。尊がるのではなくて。

さて本巻では、2巻で登場したハルの母が再登場する。子離れのできていない毒親だが、今後の展開はいかに。



漫画・コミックランキング

「青春してるかい!」2(完結)

青春してるかい!(2)

青春してるかい!(2)

Amazon

リカのクラスの大神は、かつてバレー部だったが、上級生とケンカして全員を病院送りにしたことがあった。実は度を越したシゴキやイジメがあって、そのターゲットにされたが故の反抗だったが、顧問は「新入部員を鍛えるのは当然、うちの部はそうやって強くなってきた」という考えであり大神一人が悪者にされた。どうやら事情をわかっていたらしい学園長の配慮で退学は免れたが……

この顧問の麝香カオルは反リカの急先鋒でもあった。大神の活躍でリカのクラスは勝ちあがるが、麝香のクラスと決勝で当たることになった。そして麝香は試合が始まる前に大神とリカを監禁して試合に出られないようにしてしまう。が、リカの機転でからくも脱出、途中出場の二人の力で優勝をもぎ取るのだった……

などなどのドタバタ騒動がいろいろがるが、生徒の中の反リカ筆頭だった砂原とも徐々に打ち解けるようになり、最後はちゃんとキスをする。そ、そうだったのか。てっきり大神と結ばれるのかと思ったが。

というわけでラブコメ学園物語は大団円を迎えたのだった。

この頃の絵は僕の好みとは少々外れるが、うまい下手でいえばうまい。ギャグのセンスもいい。ただ、こうした作品だけだったら、この作者を追いかけようとは思わなかっただろうが。

まっとうな少女漫画(のちの才能の片鱗は見えるが)からスタートし、ホラー・サスペンスで花開くというのは、曽祢まさこを彷彿させる。



漫画・コミックランキング

「青春してるかい!」1

青春してるかい!(1)

青春してるかい!(1)

Amazon

「爆風シンデレラ戦線」に引き続き「りぼん」1998年10月号より連載された作品。学園ドラマ。

宇佐美リカ16歳、獅子丸学園に新しくやってきた。といっても転校生ではない。なんと新任の教師として、だ。オーストラリアで7年も飛び級した秀才で、オーストラリア州立大学を卒業している。

彼女が目指すのは昭和40年代の青春ドラマに出てくるようなクラス運営。そのため現実とのギャップは大きいが、リカは単なる机上の秀才ではなく、機転が利き、胆力も実行力もあって、クラスの悪ガキ相手に一歩も引かない。

型破りなリカの行動が目に余ると感じる人も多く、一度はクビになりかけるが、学園長にかばってもらい、一度は不問に。しかし反リカ派は却って不満をくすぶらせることになる。

そんな矢先、急に(学園長の気まぐれで)球技大会が行われることに。種目はバレーボールで男女混合。全学年・全クラスが参加、優勝したクラスには豪華賞品が授与される……とのことで、リカは優勝を目指してクラスをまとめようとするが……

ギャグ部分とシリアス部分の落差が激しい。リカが真剣に何かを考えた時、リカにとっては極めてシリアスなのだが、その場面は漫画全体の中ではギャグになっている、という描き方がうまい。

序盤で、クラスの不良を束ねる悪の秀才的な人(砂原礼央)にいきなりキスされた時は驚いた。砂原はリカを手なずけるためにわざとやったのだが、高校一年生が使う飛び道具としては破壊力があり過ぎではないかと思う。

発行元にこだわるようだが、本書も発行所の明記がない。Amazonを見るとJコミックテラスの発行のようだ。このあたりの出版社との関係はよくわからない。


漫画・コミックランキング

「爆風シンデレラ戦線」

「りぼん」1997年12月号~1998年5月号に連載された作品。最近の作品とはかなり絵柄が異なる。目が大きく、典型的少女漫画風。

名門お嬢様高校に入学してきた庶民派の雛里つぐみが、名門にふさわしからぬ(しかし生命力あふれた)パワーで周囲を巻き込み、波乱万丈の学園生活を送る物語。

ちょっと尻切れ蜻蛉な感もあるが、ダラダラ続くより、テンポよく進みサクっと終わらせるのもいいのかも知れない。ただ鷹臣クンとは何の発展もなかったが、もう少しイイ感じになってくれるとよかったなあとは思う。学園漫画を描くならラブコメは、いや、コメはいいけどラブは必須。

しかし、kindle版に関しては奥付がなく、発行所も、発行日もわからない。少なくともりぼんコミックスではなさそう。またしても想像だが、紙の単行本はとっくに絶版となり、作者が自力で電子版を発行した……? それにしても奥付のないには奇妙である(とはいえ、電子本にはよくある話でもある)。



漫画・コミックランキング

「アンリミテッド」2

桐流零央にサイコパスの資質ありと見抜いた警視庁の神室は、自分に性的虐待をしていた義父を自死にみせかけて殺し、さらに三人もの人間を殺して服役中の女性にインタビューした様子を撮影した動画を桐流に見せるシーンがあった。この女性、鷺嶋あゆが2巻の主人公である。ますます快調。

自殺願望のある人が、ネットで連絡を取り合って手段自殺する、というのは一昔前に実際にあった事件のアレンジだと思うが、たくみに扇動する人(組織)がいて、その組織のリーダーの壊れっぷりがサイコとは対極にある感じでいいアクセントになっている。

1巻に登場した吾川貴史もそうだけど、鷺嶋あゆ(のようなサイコパス)は自分なりの倫理観、いや倫理という言葉は相応しくないが自分ルールというものがあって、それはきちんを守っている様子が興味深い。単に自分の欲望に引きずられたり怠惰なだけの外れ者とは一線を画している。だからこそ、その思考や行動が桐流零央に追えるのだ。一般人の常識とはかけ離れているため、読者が追いかけるのは大変だが。

話の展開にどことなく爽快感があるのは、人が死ぬのが面白いのではなくて、鷺嶋あゆの行動に一貫性があるからだと思う。

第三巻は発売されるだろうか? ぜひ次の話が読みたい。



漫画・コミックランキング