鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「Good Morning ティーチャー」 1、2

1巻は2001年8月27日刊。2巻は2002年7月3日刊。

東進太郎という若手教師が主人公の学園ドタバタコメディー。

著者の最初の連載作品。足掛け14年にわたる、長期連載作品となった。単行本は全14巻。

重野なおきの歴史漫画はどれもこれも文句なしに面白い。歴史ものは全部購入してしまったため、それ以前に描いていた、それ以外の作品と思い、買って読んでみた。

小坂俊史とは仲がいいらしいが、話の展開も小坂俊史を彷彿させるものがある。

面白いことは面白いが、深みには欠ける。まあ、脂の乗った現在の作品と比べても、そこは致し方ないところだ。

プロローグは(絵柄からいって)単行本化に際してあとから描き足されたように思われるが、東が高校時代の教師・菅野舞が魅力的。東が天然で舞の目に触った時の顔が妙に色っぽい。あとで登場するのかと思ったが、それはなかった(2巻の範囲内では)。



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「8月7日にご用心!」

2014年12月18日電子書籍版発行。最初期の作品集。デビュー作は「手錠はおどる」、二作目が「それはあんまり」、三作目が「ファーストキッス」ということらしい。

表題作はミステリー・コメディーで、初期の傑作。正直のちの作品ほどにはひねりが効いておらず、作者がどこへミスリードさせようとしているのかと、真相はどうなのか、だいだい想像がつくのだが、それでも引き込まれる。曽祢まさこの魅力が凝縮されている。高校生がよくこれだけの作品を描けたものだ。

絵はまだ発展途上だが、本人の解説によると、この頃一番気にしていたのはネーム(セリフ)のテンポだったそうだ。実際、話の進め方や会話のやりとりなどはとてもよくできている。絵よりもまずネーム、という考え方自体が、プロとしてやっていかれた大きな理由なのかも知れない。

最後に収録された「小さな町で……」は少しあとの作品。さすがに絵が手馴れている。

初出一覧

タイトル 掲載誌 日付
それはあんまり! 少女フレンド 1970年29号(7/14号)
ファーストキッス 少女フレンド 1970年34号(8/18号)
あなたのちかん度100%(原作:乾東里子) 不明 -
8月7日にご用心! 不明 -
それでもあんたはキューピッド? 不明 -
ごきぶりアパートの決闘 不明 -
小さな町で…… 中二時代 1976年3月号


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「ラブ・クラシック」

2013年10月30日刊。

どういう感想を持てばいいのかわからない。出版側の紹介文を転記すると、「明治から昭和初期を舞台に、女と男の儚く美しい愛と官能を描く、エロティック&ノスタルジック短編集!!」ということになる。

純文学ではない。エロ本でもない。面白くて、続編があれば絶対に読みたい、というほどでもないが、どこか圧倒されるものがある。こういう作品があることを知れただけでも読んだ価値はあった。



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「訳アリ心霊マンション」2(新刊)

  • ネブクロ「訳アリ心霊マンション」2(新潮社)

2023年5月9日刊。

除霊師(?)・ツヅミと、顔見知りの元刑事の依頼で温泉に行き、危機を迎える中編は1巻2巻にまたがる掲載となったが、その後はまた短編に戻った。基本パターンは、いく先々で出会う幽霊や化け物に、つづみが大騒ぎをし、薫がマンションへ勧誘し、付随して起きるトラブルを無傷で解決する、というもの。これが面白い。

後半でまたあたらしいキャラクター(つづみの妹? 弟?)が登場するが、自分としては話を広げなくてもよいと思っている。電子版特典のおまけページが抜群に面白い。kindleで買って良かったと思うが、わざわざ紙版で買った人にもこの面白さを教えてあげたい。

「ザ・ファブル The second contact」7(新刊)

2023年5月8日刊。

相変わらず面白いけど、ちょっと展開に時間がかかり過ぎる気も。畳みかけるような展開がほしい。



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「霊能者・猫目宗一シリーズ 怨念人形」

2014年6月17日刊。電子書籍も同時に出たようだ。

これまで比古地朔弥の作品をいくつか読んでみて、バラエティに富んだ作風に驚いているが、本シリーズが抜群に面白い。全2巻ということになっているが、明確な最終回にはなっていない。機会があればいつでも続きを描くということであれば、ぜひ続編を期待したい。しかし最後の作品から10年以上経過して続編が出てこないのは、理由があるんだろうな……。

初出一覧

No 作品名 掲載誌 掲載号
01 後ろの千手観音 あなたが体験した怖い話 2012年5月号
02 怨念人形 あなたが体験した怖い話 2012年3月号
03 廃墟の闇 あなたが体験した怖い話 2011年9月号
04 心の旅 あなたが体験した怖い話 2011年11月号
05 鬼門の彼方 あなたが体験した怖い話 2011年7月号



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「霊能者・猫目宗一シリーズ 猫目骨董店」

2012年10月17日刊。2013年6月13日電子書籍刊。

猫目宗一は、先祖に猫神様という強い霊能者がいた。そして現在でもふとしたきっかけでこれが宗一に宿る。大学のクラスメートの熊野アカネの持ち込むトラブルを、宗一に憑依した猫神が解決するという連作短編集。霊能者が事件を解決するという骨格は「強制除霊師・斎」シリーズを彷彿させる。彷彿させるはずだ。出版社は同じぶんか社だった。斎とはキャラも雰囲気も異なるが、これはこれで面白い。

私自身は霊の存在を信じるものではないが、ここで描かれたような話はあくまで漫画であり、架空の話だと一蹴するつもりもない。なぜならば、よりよい人生を歩もうと思った場合、理屈で考えるのか、天が見ていると考えるか、霊を理由にするかはともかく、結局のところやることは同じになる(ことが多い)からだ。

たとえば「肉体に宿る絆」は、不倫をやめなければいけない。「神様の役目」では、父親の不行跡をやめさせなければならない。そこに変わりはなく、その決意を促すのが母親の霊だったり先祖の云々だったり、それで動けるならば、それはそれでいいことなのだと思う。

初出一覧

No 作品名 掲載誌 掲載号
01 猫目骨董店 書き下ろし -
02 死を招く橋 あなたが体験した怖い話 2011年1月号
03 肉体に宿る絆 あなたが体験した怖い話 2010年11月号
04 神様の役目 あなたが体験した怖い話 2011年3月号
05 水難の相 あなたが体験した怖い話 2011年5月号
06 世界の終わり あなたが体験した怖い話 2011年7月号



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