鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

テルマエ・ロマエの中のひと

  • ヤマザキマリ「世界の果てでも漫画描き」1(マーガレットコミックス)

テルマエ・ロマエでブレイクしたヤマザキマリは、デビューしたての新人には見えないが、他の作品を全く知らなかった。書店にたまたま「世界の果てでも漫画描き」という本が置いてあるのを目にし、うっかり買ってしまう。

メインのエッセイコミックは、まあどうというほどのものではない(つまらないわけではない)。が、巻末付録の「SPLENDOR!」はお宝ものだ。彼女のデビュー作(1998年)で、単行本初収録とのこと。これが粗削りだが実に素晴らしい作品なのだ。まず、このような題材の漫画は世の中にほとんどない(しいていえば「ギャラリーフェイク」?)。そうした目の付けどころがいい。そしてドラマがある。続編が描かれたらしいが、ぜひとも読んでみたい。

今日、うっかり書店の書棚に同じ作者の「涼子さんが言うことには」を発見し、買ってしまう。これが大正解。絵は決してうまくないのだが、ひとつひとつの話に魂をゆさぶられるような抒情性を感じる。しかしタイトルにもなっている「涼子さん」が誰なのかもわからず、人間関係がイマイチ不明。どうやらこれは「ルミとマヤとその周辺」という作品の続編になるらしい。これは買わねば。