鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

少年少女世界の文学

小学館が1978年に発刊した「少年少女世界の文学」シリーズ全30巻が、二年前にkindleで再刊されたことは何かのニュースで見て気になっていた。

物心ついた時からある時期まで、自分の読書量は、同年代の平均と比較すれば多い方だったと思うが、それでも本というのは1000年の前から世界中で書かれており、とても追い切れるものではない。また、だんだん自分の嗜好というものがはっきりしてくると、好きなものは読むが、好きでないものは読まないし、そんな時間もない、ということで、分化が進んでいく。

これは自然な傾向であり、またそうあるべきとも思うが、だんだん歳を取って来て、誰でも知っていると言われるような古典で自分が全く読んだことのない作品がたくさんあることについて、これではいけないと感じるようになった。なぜ、これではいけないのか、について掘り下げると長くなるからここでは触れないが、若い時とは感じ方が変わってきたということだ。

それで、「レ・ミゼラブル」「ガリバー旅行記」「ロビンソン・クルーソー」などの小説を文庫本で買い読もうとした時期もあったが、こうした作品は子供向けによく紹介されるから誤解するけど本当は長くて、難解で、気軽に読み飛ばせるようなものではないのである。この世界が大好きならいいだろうが、そうでなければ歯が立たない。

そういうわけで子供向けのシリーズに目を向けるに至った。それは、網羅的であることと、難解だとか、冗長と思われる箇所を大胆に意訳したり省略したりしてほどほどにまとめていることの二点において、大人にとっても文学入門として最適ではないかと思うわけである。

自分の子ども時代、つまり小学館のシリーズよりさらにひと世代前になるが、その頃は偕成社ポプラ社などから子供向けの様々なシリーズが刊行されていた。できれば子供時代に読んだシリーズで読みたいと思うが、現在kindleで入手できるものはない。そんなわけで小学館のシリーズに目を付け、いつの日か、これを読破してやろうと思っていたのである。その「いつの日」はなかなか来なかったが……

そんな矢先に、たまたま知人と「あしながおじさん」の話になったため、いい機会だと思い、このシリーズの一冊を購入しという次第。

ひとつ気になるのは……と、こういう場合、三点リーダ(…)をふたつ重ねるのが一般的な書法だと思うが、本書では二点リーダ(‥)がふたつ重ねられている。しかも点が少々太いため、中黒(・)をよっつ重ねたように読めてしまう。生理的にはあまり気持ちよくない。が、まあ気にせず読もう。


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(2019/11/27 記)