鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「シャーロッキアン!」2

車教授は酔って生徒の原田愛里のことを妻と間違え、肩を抱いてしまう。すぐに気づき、手を放すが、愛里との付き合いに一線を画す必要を感じる。

愛里は、車のことを、先生として、シャーロッキアンの先輩として尊敬し、親しんでいたわけではなく、異性として意識するようになっていた。だから、肩を抱かれたのが嫌だったのではなく、今は亡き奥さんと間違えられたことが悲しかったし、距離を置こうと言われて傷つく。

しかし、車教授も、実は愛里のことが……というような二人の揺れ動く心が節々に表われる第二巻である。

愛里は20か21で、車教授は容貌からすると50代。30年(もしかしたら40年)近い年齢差があって、好きも嫌いもないような気がするが。仮にそうであったとしても、車教授の立場からすれば、少なくとも愛里が大学を卒業するまでその気持ちを押しとどめなければ、大変なことになるだろう。愛里は、それがわからないほど頭が悪くはないと思うが。

話としては、「ボヘミアの醜聞」でワトスンがハドソン夫人を「ターナー夫人」と書いた理由の推理は見事。この説は池田邦彦が考え付いたのか? 既出の説か? 

現代のイレギュラーズが再び活躍するマズグレーヴ儀式の話も、人情話として秀逸。池田邦彦はこういう話がうまい。


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