鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「死神坊ちゃんと黒メイド」1

2018年1月12日刊。

「メイドもの」という漫画作品が一定のジャンルを作っているような気がする。以前に「最近雇ったメイドが怪しい」をブログに書いたことがある。まだ記事を書いていないが「メイドの岸さん」という作品も全巻購入している。両作品よりも本作の方が(単行本一巻の発売日でいうと)二年ほど早い。この三作に共通するのは、若い主人とメイドのラブ・コメディだという点だ。「シャドーハウス」は少し違う。「君は冥土様。」はバリエーションと考えるべきか? いわゆる「異世界もの」にはたいていメイドが登場するが、これは全く別ジャンルだ。

さて、本作の主人公は「坊ちゃん」は幼い頃に「触れたもの全てを死なせてしまう」呪いをかけられてしまう。以後は触った植物や動物は死んでしまい、周囲からも家族からも疎んじられた「坊ちゃん」は古い屋敷に軟禁され、年輩の執事ロブと、若いメイドアリスの二人の世話で、ひっそりと暮らしている……という話である。

アリスは「坊ちゃん」に、顔を近づけたり、自分のスカートをめくって中を見せたりと、性的な内容を含む悪戯を頻繁に仕掛ける(坊ちゃんはこれを逆セクハラと呼ぶが、「逆」がつくのはいただけない)。

アリスは可愛くて坊ちゃんは好きなのだが、手をつなぎたくてもつなげない葛藤と、そもそもアリスは自分のことをどう思っているのか? という葛藤の狭間で揺れる。そんな悩む坊ちゃんをアリスは愛しくてたまらない風に眺めている……。一巻の最終話で、坊ちゃんはアリスに告白し、アリスはそれに応えているが、坊ちゃんはそれをどう受け取ったか。

相思相愛になってもキスもできないのは悩ましい。が、いくつか疑問がある。

まず、なぜ、誰に呪いをかけられたのか、だ。事情がわかれば呪いを解くすべもあるかも知れないが、今のところは、ただ呪いをかけられたとあるのみで、詳細は明かされていない。

また、その呪いは「手で触ったものが死ぬ」ではないのか。肩と肩がぶつかった、というような身体的接触でもアウトで相手は即死するのか。それは服を着ていてもダメなのか。今のところ坊ちゃんが慎重に相手を避けているため、人間が死んだ例はないようだが、素手で触ったものだけなら、いろいろ回避方法は考えられる。手袋をすれば手をつなぐのはオッケーだし、キスもできる。服を着た状態で肩や背中がぶつかったらダメというのなら、今のままならロブやアリスの命が危ない。

相手の気持ちを知った上で、相手の気持ちがわかっていない相手をからかうアリスは、からかい上手の高木さんを彷彿させる。ただし西片は自分の気持ちにも気づいていなかったから、その点では坊ちゃんの方が上だ。さて二人の恋の行方は……