鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「かけおちガール」1

  • ばったん「かけおちガール」1(講談社Kissコミックス)

牧村ももは大学院生で眼科でアルバイトをしている。高校時代、ももの初恋の相手はみどりちゃんという子だった。いつも一緒にいて、同じ色のマニキュアを塗った手を握り、手紙を交換し、何度もキスをした。この関係はずっと続くと思っていたが、高校を卒業する時にみどりちゃんは「彼氏を作る」と言い出し、関係は終わった。以後、みどりちゃんと連絡はとっていない。が、ももはみどりのことが忘れられないでいる。

ふとしたきっかけでももはみどりと再会。みどりは妊娠し、結婚を控えていた。しかし10年前と同じようにみどりはももににこにこと笑いかけ、手を握り、ちゅーをしてきた。

みどりに強く誘われ、ももは彼氏であるたずね君と会うのだが、このたずね君、遠回しに言ってクズである。自分の彼女の親友(?)であるももに向かって、「料理が全くダメ」「頭悪いからなんにもできない」「顔だけはいいけど」などと侮蔑的な言葉を吐き続ける。みどりが結婚式に着るドレスを選ぶのも、たずね君は興味を示さない。行為の時にも……

みどりは小学生の時に親が離婚して、以来母と二人暮らし。夕食はいつも一人で食べていて、それがすごく寂しくて、だからひとりぼっちは嫌いで誰かそばにいてくれる人を好きになってしまう……

いやはや、絵柄は好感度高く、話の展開はわかりやすく、厭らしくなくさらりと描いてはいるが、深い話ですよ。ももに対してはみどりのことを、みどりに対してはたずね君のことを、そんな奴とは別れろ、忘れてしまえ、誰と付き合ってもそいつよりましと言いたくなるけど、コトがそんなに単純でないこともよくわかる。

ももにもみどりにも欠点はあって、そうならざるをえないような状況が重なって今があるわけだ。「こうすればよかった」「こうするべきだ」などと安易に言えるものではない。今のところはたずね君がクズである理由というか背景はわからないので、たずね君が突然死んでも悲しくないけど。

ももとみどりの今後が気になる。でも読むと自分の中の鬱度が増幅されるような気もする。もう少し元気な時に続きを読もう。


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(2020/6/25 記)