鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ジャスティ」1 - 3

初出は1981年なので40年近く前である。当時、夢中になって読んだものだ。

こうしたSFヒロイックファンタジーは、主人公がカッコいいこと、メカがちゃんとメカメカしいこと、設定がそれなりであること、など条件が意外に難しい。ただのラブコメなら部隊を宇宙にしたり、未来にしたりする必要はなくなる。ハコ(舞台設定)がきちんとしていないと、荒唐無稽なものになってしまう。その上で話がおもしろくなくてはいけないわけだが、本作はこうした種々の条件をクリアした数少ない名作だ。

当時(学生時代)の自分は、いろいろと面白くないことやつらいことも多く、それはこれまでの不道徳な行ないが招いたこと、いわば贖罪なのだと自虐的な考えを抱いていた時期もあり、銀河系一の能力を誇りながらやらされていることはクリミナルエスパーの抹殺、要は「人殺し」の日々であり、そのことで苦しむ主人公、ジャスティ・カイザードに妙に感情移入したものだ。

何十年ぶりかで読み直してみたが、依然として面白かった。ジャスティには血のつながっていない姉(ジェルナ)と妹(アスタリス)がいるが、以前からアスタリスはいらないと思っていた。今回読み直して、その気持ちをいっそう強くした。アスタリスはいろいろあって身体は17~18歳だが、精神は5歳である。成熟した女性の身体で子供っぽい(ぽいのではなく、子供そのものなのだが)態度は、ちょっと気持ちが悪い。ジャスティにはジェルナとの「大人の愛」を深めてほしかったが、ジェルナも20歳だった。子供だ……

kindle版には紙の単行本には未収録だった短編が巻末についている。恐らくこれは、1985年(少年サンデー増刊での連載終了後)「アニメ化記念特別編」として発表された作品と思われる。ジェルナが生きており、時間的には少し戻る。


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