鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「明智光秀放浪記」

元はといえば、作者がtwitterで「#麒麟がくる」タグをつけて自作4コマを投稿していたのを目にしたのがきっかけ。この作者の歴史漫画は読んだことがあって、知ってはいた。ただその時は、悪くはないけど特に……という程度の印象だったが、明智光秀を主人公にした作品を、大河ドラマのあとで読むと、これは全部読みたい、となってしまう。

この作者の作品で光秀を主人公にした作品といえば本作なので、即座に購入。

ユーモラスで、ギャグもちりばめられているが、基本的には結構きちんと史実を踏まえて描かれている。作品年代的には「麒麟がくる」より前だが、「麒麟がくる」とエピソードがかなりかぶっている。上洛以前の光秀のことは不明な点が多く、だから人によっていろいろ描かれるのだが、共通する点が多いのは、偶然ならすごいな、と思う(美濃を追われたあと、中国・四国まで足を延ばしたという点は異なっているが、毛利に仕官しようとして成らなかったというエピソードは、京を追われたあとの義昭との交流などを考えると、興味深い)。

エピソードもそうなのだが、明智光秀の人物造形に通じるものがあると思うのだ。実直なところ、正直過ぎてひとこと多いところ、女心に疎いところなど。だから「麒麟がくる」を見直しているような気分になれた。

若き、名もなき時代にスポットを当て、信長の家臣になってからは駆け足になるのも「麒麟がくる」に似ているが、本能寺の変の10年前で物語は終わる。作者がwitterに投稿したエピソードは含まれていない。この続きにあたる物語は別の作品になるようだ。それも読みたい。



漫画・コミックランキング