鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「月出づる街の人々」1

  • 酢豚ゆうき「月出づる街の人々」1(アクションコミックス)

2022年9月15日刊。連作短編集。

透明人間、メドゥーサ、フランケンシュタインの女子三人組は大の仲良し。透明人間は最近気になる男子ができた。彼は狼男なのだが……

異形な物たちが、互いに異形であることを気にしつつ、当然と受け止め、仲良く暮らしている世界。恋愛、友情、家族、さまざまな関係にスポットをあてた学園コメディ、とでもいうか。

互いに異能力を持っていることをごく自然に受け入れつつ平和に暮らす学園コメディといえば、自分の中では「うちのクラスの女子がヤバい」あたりから始まったように感じるが、どうだろう。

どの話も明るく、前向きなのだが、いじらしい。印象的なのはなんといっても第一話。透明人間と狼男の恋物語だ。体毛をブラッシングする、というのは、犬や猫ならどうということはないが、人間の男子(それも思春期の)と考えると、される方が悶々としてしまうのはわかる。ラストシーンは、鮮やか。

実はこの作品、作者の方のtweetで存在を知った。一読して驚いた。自分の好みのど真ん中の真ん真ん中である。タイトルや、表紙の絵や、Amazonのキャッチコピーには特に惹かれなかったから、twitterの出会いがなければ知らないままだっただろう。