鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「女殺し屋 銀猫」1

2020年6月1日刊。オリジナルは1974年12月12日、文芸社刊。94ページと、通常の単行本としては薄い。

佐藤まさあきといえば、小中学生の頃、たまに大人が読む週刊誌を手にしてパラパラめくるとよく作品が載っていた。男性の目じりが特徴的でよく覚えている。

三編所収。第一話は、銀の猫初登場。ファッションモデルがデザイナーに手籠めにされそうになるが、実は若く、美人で、スタイルがいいこのモデルは、殺し屋だった! かつてデザイナーに手を出され捨てられた女からの依頼で、モデルに扮してデザイナーを殺害。

第二話は、依頼を受けて調査を進めると、依頼人は既に受けた依頼のターゲットだったため、キャンセルの上、依頼実行。ダブルブッキングの場合は先に依頼のあった方を優先するのだ。

第三話は、依頼を受けてはみたものの、ターゲットが哀れに思えてしまい、この人は殺せないと思った。その上ターゲットと深い関係に陥ってしまう。が、その後ターゲットの妻子を見てしまい……

男性の殺し屋としては、ゴルゴ13というスーパースターがいる。が、女性の殺し屋はどうだろう。

日本ではロング・キルは難しいから、殺すためには相手に近づく必要がある。そのため女ならではの武器を使うこと。ターゲットの男性に心を動かされてしまうこと。殺しを実行する時の鮮やかな手口と、こうした葛藤が物語に深みを与えている。銀の猫の服が毎回変わっているのもなかなか惹かれるものがある。



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