鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

2010-01-01から1年間の記事一覧

やはりひばりくんは買うべきか

『ストップ!!ひばりくん』が浄化された/天然酵母のパン屋/死ぬ瞬間(Feel in my bones、2010/03/08) 基本的に最初の単行本は持っていて、一部の未収録作品を読みたいがためとはいえ、いくらなんでも少し高いだろう、しかも既に売り切れでプレミアがついて…

「ストップ!! ひばりくん」完全版

江口寿史、「ストップ!! ひばりくん! コンプリート・エディション」(小学館) ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション 第1巻作者:江口寿史発売日: 2016/07/12メディア: Kindle版ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション 第2巻作者:江…

若き日の佐野絵里子「加持祈祷うけたまわりマス」

佐野絵里子「加持祈祷うけたまわりマス」(エンターブレイン) 加持祈祷うけたまわりマス (BEAM COMIX)作者:佐野 絵里子発売日: 2009/09/14メディア: コミック2009年は本作、「為朝二十八騎」に「時を翔る絵師」と、新刊が三冊出たことになる。これで著書は7…

日本史上最強の騎兵物語「為朝二十八騎」

佐野絵里子「為朝二十八騎」(エンターブレイン) 為朝二十八騎 1巻 (BEAM COMIX)作者:佐野 絵里子発売日: 2009/09/14メディア: コミック源為朝といえば、源為義の子で源義朝(頼朝・義経の父)の弟、保元の乱で破れ伊豆へ流され生涯を終える。史上名高い弓…

安孫子素雄のまんが道

菅紘「藤子不二雄A」(講談社) 藤子不二雄A-夢と友情のまんが道- (講談社 火の鳥人物文庫)作者:菅 紘発売日: 2002/04/25メディア: 新書最近は、子ども向けの真面目な偉人伝シリーズなどに、ジョン・レノンや手塚治虫、イチローなどが並ぶようになり、違和感…

佐野絵里子の新刊「時を翔る絵師」

佐野絵里子「時を翔る絵師」(集英社) 時を翔る絵師 (eyesコミックス)作者:佐野 絵里子発売日: 2009/10/23メディア: コミック著者から贈呈していただいた。僕にとっては非常に珍しい出来事である。風景だけでなく、情景から音楽、人の気持ちに到るまで絵に…

「青春少年マガジン」

『青春少年マガジン』小林まこと(雨宮まみの「弟よ!」、2009/04/28) 以前、この本を読んで感想を書いた時は、この本の何がどうして面白いのかについては書かなかった。書けなかった、という方が正しい。先ほど、素晴らしいレビューを目にしたのでリンクし…

これは名作「青春少年マガジン」

小林まこと「青春少年マガジン」 青春少年マガジン1978~1983 (週刊少年マガジンコミックス)作者:小林まこと発売日: 2014/06/13メディア: Kindle版しばらく前に少年マガジンで連載していた小林まことの作品「青春少年マガジン1978~1983」が、本日発…

吾妻ひでおの新作「地を這う魚」は怪作

吾妻ひでお「地を這う魚」 地を這う魚 ひでおの青春日記 (単行本コミックス)作者:吾妻 ひでお発売日: 2009/03/09メディア: コミック漫棚通信が絶賛していたため、さっそく購入。吾妻ひでおがまた変化していた。もっとも、「ふたりと5人」で吾妻を好きになり…

「風雲児たち」18巻

みなもと太郎「風雲児たち」18 2月27日(2008年)に「風雲児たち」(みなもと太郎)18巻が発売になっていた。うっかりしていた。さっそく買わねば。(別ブログより転載/original : 2008-03-01) 付記(2021/5/9) ここでいう「風雲児たち」18巻が何を指して…

「ピアノの森」15巻

一色まこと「ピアノの森」15 ピアノの森(15) (モーニングコミックス)作者:一色まこと発売日: 2012/09/28メディア: Kindle版ちょっと書店へ行きそびれて、入手が遅くなった。普通の版も平積みになっていたが、CDつきの限定版が置いてあった。このCDはショ…

「夕凪の街 桜の国」

こうの史代「夕凪の街 桜の国」 夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)作者:こうの史代発売日: 2012/09/07メディア: Kindle版先週、映画を観たあと、家に原作があるというので借りて読んでみた。ああ。これは素晴らしい漫画だ。そして、それに比べていくつ…

「ピアノの森」1 - 9

一色まこと「ピアノの森」1 - 9 ピアノの森(1) (モーニングコミックス)作者:一色まこと発売日: 2012/09/28メディア: Kindle版ピアノの森(2) (モーニングコミックス)作者:一色まこと発売日: 2012/09/28メディア: Kindle版ピアノの森(3) (モーニング…

「24のひとみ」1 - 3

倉島圭「24のひとみ」1 - 3 24のひとみ 1 (少年チャンピオン・コミックス)作者:倉島 圭発売日: 2006/08/08メディア: コミック24のひとみ 2 (少年チャンピオン・コミックス)作者:倉島 圭発売日: 2007/01/09メディア: コミック24のひとみ 3 (少年チャンピオン…

新しい義経像

佐野絵里子、「源義経」 源義経作者:佐野絵里子発売日: 2013/11/29メディア: Kindle版「判官(ほうがん)びいき」という言葉があるように、判官九郎義経は日本人のヒーローである。そのイメージは、態度の悪い木曽義仲を滅ぼし、平家にとどめを刺して鎌倉幕…

営業ものがたり

西原理恵子「営業ものがたり」 営業ものがたり作者:西原 理恵子発売日: 2005/10/26メディア: 単行本西原理恵子の世紀の名作「うつくしい のはら」が、早くも単行本に収録されたらしい。(別ブログより転載/original : 2005-11-03)

書いてみたら書けた

夏休みの影響か読書感想文に関して書いたブログのエントリをあちこちで見かけ、自分も読書感想文が書いてみたくなった。読んだ本の記録も残しておきたいし。しかし、続くかなあというのが懸念だったが、とりあえずスタートして二週間ちょっと、19冊の本につ…

相変わらずの鯨節

鯨統一郎、「ファンタジスタはどこにいる?」(光文社文庫) 鯨統一郎も新刊が出たら買うことに決めている作家。大半の作品がいわゆるバカミスの類なのだが、このバカミス、癖になるのだ。あまり深く考えず、軽く読み飛ばすための本。ファンタジスタはどこに…

なんでこんなにすごい小説が書けるのか

高野和明、「13階段」(講談社文庫) 江戸川乱歩賞受賞作にして著者のデビュー作。テーマは、人はつぐなえるのか、つぐないとは何かという話。人を殺した人は、どうしたらつぐなえるのか、何をしたらつぐなったと言えるのか。被害者の家族から見たつぐないと…

久しぶりに読んだ歌野晶午

歌野晶午、「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」(光文社文庫) 歌野晶午を読むのは久しぶりだ。連作短編集。トリックにも無理がなく、伏線の張り方も自然で悪くない。タイトルを見て、舞田ひとみという11歳の少女が探偵役をやるのかと思い、それはいくら…

短編の無断再録は詐欺行為

新津きよみ、「指先の戦慄」(角川ホラー文庫) 新津きよみは、入手できる本はすべて入手したし、新刊が出ると必ず買うことにしている作家である。超ベストセラーはないが、息の長い作家である。本書は6月の新刊。新津きよみは、長編にもいいものがあるが、…

遺産を巡る複雑怪奇なストーリー

北川歩実、「真実の絆」(幻冬舎文庫) 北川歩実は覆面作家らしい。年齢・性別・本名などが明かされていないことからそう呼ばれるらしいが、本来、作家は作品が勝負で、むやみに私生活を明かす必要はないし、読者だってそんなことに興味はないはずなのだ。が…

他人の視線におびえて

北川歩実、「熱い視線」(徳間文庫) 短編集。比較的最近発刊された本だが、収録されているのはほとんどが約10年ほど前の作品である。最近北川歩実が人気なので、過去の文庫未収録の作品が刊行されたということらしい。北川歩実は明野照葉とほぼ同時期に知っ…

兄弟姉妹あるところに遺産争いあり

明野照葉、「骨肉」(中公文庫) ユーモア小説。これまで読んだ明野作品の中では異色に思える。こんな作品も書くとは少々意外。稲本家には娘が三人。ある日父親が、「今まで黙っていたが、実は四女がいる」といってその子を家に連れてきたことから騒動が始ま…

誰もが憧れる人生の舞台裏

明野照葉、「汝の名」(中公文庫) 「女神」の一年後に上梓された本であり、「女神」の換骨奪胎ともいえる内容。主人公の名前も設定も異なるが、やっていることは似たような内容である。前作では、主人公に憧れる女はただ観察するだけで、主人公からは一顧だ…

怖いのは死んだ人間か、生きている人間か

明野照葉、「棲家」(ハルキ・ホラー文庫) こういう小説をホラーというのだろうか。事態が日常生活を超えて不思議な、というより異常な事態を引き起こし、どんどん深みに嵌まっていくのも怖いし、ラストで事件が解決したかに見えるうしろでさらなる事件が暗…

人生とは自分が演じたいキャラクターを演じること

明野照葉、「女神」(光文社文庫) 明野照葉は、昨年「ひとごろし」を読んで以来、注目しており、まずは既刊の作品を読んでしまおうと目に留まったら買っているところである。ただ、彼女の作品は病的な気味悪さが漂う作品が多く、あまり立て続けには読みたく…

一年後の約束の重さ

永井するみ、「年に一度、の二人」(講談社文庫) 三つの短編からなる。当初は、同じようなテーマで中身の異なる短編集かと思ったが、三つ目の話で三つの話が溶け合う。これは連作短編、いや、三つの章に分かれた長編と考えるべきか。三組の男女における一年…

永井するみの最高傑作

永井するみ、「グラデーション」(光文社文庫) 永井するみは好きで文庫本が出ると必ず買うことにしている。初期の仕事シリーズはどれも綿密な取材に支えられた力作揃いであり、中期のさっぱりしたテイストのものも、佳作揃いであるが、一番の傑作はと訊かれ…

理不尽な暴力とどう闘うか

奥田英朗、「サウスバウンド」(上・下)(角川文庫) 前半は読んでいるのが途中で厭になり、何度も中断を置いて少しずつ読み進めた。いじめに遭う中学生の様子が正視に堪えなかったのだ。瀬尾まいこの「温室デイズ」や景山民夫の「さよならブラックバード」…